heimtextil
一年振りに訪れたフランクフルトの街。エネルギー価格の高騰やそれにともなうインフレの影響なのか、日本で思っているよりも遥かに不況感が漂っていました。やはり戦争の影響が大きいようですね。そんな中でもハイムテキスタイルは、あくまでも肌感覚ですが、昨年並み位の賑わいはみせてくれていました。
ホールを回ってまず感じたのが、全体にムラのある仕上げや手描き風のタッチが増えたこと。昨年も多く見られたけどさらに増えた印象です。そんな中でも目についたのが、まずはこちら(①)。大手のエディターが抜けたこともあって、ひと際存在感を増したイギリスのAshley Wilde社。その中の高級ブランド「KAI」は、日本語のOSHIBANAと名づけたコレクションをリリース。ISHIと名付けられたこの生地は、幾何学柄と無地の間をいく、ありそうでなかなかない柄で、ランダム感も印象的でした。同コレクションの代表柄はこちらの花柄なのだけど、こういった太番手の糸で刺した刺繍柄も今年多く見られました(②)。それとすっかり同社の人気シリーズに定着したウイリアムモリスのコレクションでは、カットベルベットの椅子張りが印象的(③)。単独でも存在感があるし、こうやってモリスのプリントとも合わせられる、ちょうど良い柄の具合がヒットを予感させました。
ランダムなミックスカラーのセミプレーンでは、特にこの生地が目につきました(④)。ベルギーのbmfabrics社のものですが、同社は落ち感が良くてしなやかな無地調の生地が多く、これもまさにドレープ性が美しい生地。それと同社のブースもそうなのだけど、カーテンの展示の多くはこのようなウェーブスタイルで吊られていました(⑤)。日本でも増えつつあるスタイルですが、生地の落ち感の良さが絶対に必要なスタイルです。ほとんどの日本の生地では対応が難しいので、日本のメーカーさんにも展開をお願いしたいところです。
年々洗練されて魅力度が増しているギリシャのSARLAS社。今年の注目は、クラシカルな鳥の柄をビックスケールで、しかも織りで描いたこちらの生地(⑥)。いや~、このスケール感には驚きました。しかもバックカットの手法を用いているのもあって、非常にしなやかなドレープ性も良い感じなのです。こんな感じで、クラシカルなモチーフのスケールを変えて新鮮に見せたり、ノスタルジックなデザインが多く見られたのですが、近年再びゴブラン織りに注力しているポーランドのDEKOMA社は、今年も魅力的なゴブラン織りを見せてくれていました(⑦)。
久々に出展されたというNEED‘Kは、ホール間のホワイエに特別展示(⑧)。日本の高い織りの技術は、世界のファッションブランドに多く採用されているのだけど、インテリアでも多くの国の人たちに知って欲しい、という目的で出展されたそうです。バーバリーやジルサンダーなどに採用された特徴的な生地たちは、ファッションショーの動画と共に紹介されていて、非常に高い注目を集めていました(⑨)。
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