
小嶋恵理香氏
織物壁紙・襖紙の国内トップメーカーである小嶋織物(株)(小嶋一社長)は、今年春より、織物壁紙・襖の素材感とデジタルプリント技術を掛け合わせた新ブランド『織彩美-SHIKISAIBI-』をローンチ、オンラインIBNでも既報の通り、9月にはブランドサイトを開設し、ホテルや商業施設をはじめとしたコントラクト市場から住宅市場まで幅広くPRを展開している。
「『織彩美』を立ち上げた1番の目的は、織物壁紙の魅力をもっと広めたいということです。デジタルプリント技術を組み合わせることで、これまでとは違った形で訴求したいと考えています」と語るのは、同ブランド事業の責任者である小嶋織物(株)デザイン企画室の小嶋恵理香氏だ。

同一データでも表情が異なる
小嶋織物は、今から93年前の昭和7年3月創業の老舗織物壁紙・襖メーカー。糸づくりから製織、最終製品(壁紙・襖)の製造まで一貫生産する国内では数少ない会社で、糸の素材・太さ・形状といった「糸デザイン」や緻密な織設計、その生地を壁紙に仕上げるための裏打紙との貼り合わせ技術など、そのクオリティの高さからブランドメーカーを通じた国内市場への販売はもとより、海外市場まで販路を拡大させている。
一方で、国内の壁紙市場はビニル壁紙が大半を占めており、織物壁紙は高級物件を中心に根強い支持はあるものの、大きな市場拡大は難しいのが現実である。そこで同社が約10年前から取り組みはじめたのがデジタルプリント技術の活用だった。
「基本的に織物壁紙のデザインはシンプルな無地系が中心です。そこにデザインを加えられるツールとしてデジタルプリント機器を導入しました」
以降、特注対応でデジタルプリント織物壁紙・襖を提案・販売してきた。ただし当時はデジタルプリント壁紙が世に出始めたばかりの時期、ビニル壁紙ベースのデジタルプリント壁紙でも価格で折り合わないケースが多く、織物壁紙での展開はさらに厳しいものがあった。しかしその後、デジタル技術の浸透により、感度の高いデザイナーの間では、新しい素材を探す動きが活発化、その中でデジタルプリント織物壁紙に注目が集まるようになっていった。
織物壁紙にデジタルプリントを施す場合、ビニル壁紙とはまた違った質感が表現できる。素材感が加わり、より奥深いデザインとなる。さらに織物壁紙ごとにその質感も変化してくる。それがデザイナーの関心を引いた。
「唯一無二の空間をつくりたいというデザイナーさんや設計士の方が増えていると感じています。ニッチな世界ですが、この数年で納入現場がとても多くなってきました」
そして今春、満を持して立ち上げたのが新ブランド『織彩美-SHIKISAIBI-』というわけだ。

「WhO」のデザインも 使用可能

ベースの織物壁紙は12種類
同社では、これまでアーティストの作品や正倉院文様シリーズ、幾何柄他のオリジナルデザインなど約50種類のデザインデータを用意し、現場に合わせて対応してきたが、今回の新ブランドのスタートに際しては、壁紙ブランド『WhO』(野原グループ(株))と業務提携契約を締結し、『WhO』のデザインも使用できるようにした(定番として10デザインをラインナップ。この他、要望あればPATTERNSシリーズに限り対応可)。
これらデザインに合せるベースとなる織物壁紙は全12種類(準不燃)。組み合わせ次第ですべて表情が異なるため、まさに無限のデザインバリエーションが楽しめる。
「価格については、現場の状況や使用数量などで異なるため、まずはお問い合わせいただきたいと思います。やりとりをしながら最適な提案をいたします」
「当初はデジタルプリントによって織物壁紙をデザイン化したいと考えていましたが、今ではデジタルプリントを通じて織物壁紙の素材感や魅力を感じていただきたいと思っています」と語る小嶋氏であった。
【問い合わせ先】
小嶋織物(株)デザイン企画室(電話・0774-86-2144)

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