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本紙紙面

2025年4月26日
【暮らしスタイリスト】
新刊『イギリス人の部屋はなぜものが多くても素敵なのか』
「足す」を提唱する新たなインテリアの形
もっと自由にインテリアを楽しんでもらいたい
飯沼朋子氏((株)デコール東京)


飯沼朋子氏

 オンラインIBNにて既報の通り、インテリアデザイナーの飯沼朋子氏((株)デコール東京代表)は、飛鳥新社より新刊『イギリス人の部屋はなぜものが多くても素敵なのか』を出版、これまでにない視点でのインテリアのあり方を提唱し注目を集めている。その視点とは「足すこと」。同書で飯沼氏は、すべてのインテリアの悩みは「足すこと」で解決できると力説する。

 この考え方は、飯沼氏がこれまで培ってきたインテリアデザインのノウハウを分かりやすく表現したものでもある。今回は書籍の紹介とともに、飯沼氏に「足すこと」とは何かを聞いた。


            ◆


飯沼朋子著
『イギリス人の部屋はなぜものが多くても
素敵なのか』(飛鳥新社)

 「日本では『引くこと』が大切だと言われてきましたが、引いて素敵なインテリアにできるのは富裕層だけではないでしょうか。リフォーム・リノベーションがメインになるこれからの日本において、現実的に部屋を素敵にしていくためには『足すこと』しかないと思っています」と語るのは飯沼朋子氏だ。

 飯沼氏については、本紙でも何度か紹介しているが、「ウォール・イノベーション」をコンセプトに壁面を軸にした空間提案を得意としている。

 また顧客と長期的につながり続けているのも特徴で、一人の顧客に対して大規模なリノベーションから小規模なリフォーム、模様替えなど複数回にわたって空間デザインを手掛けることが多い。そうした仕事では、既存の壁面、家具、照明などに新たなアイテムを追加していく、いわば「足すこと」は必然のこととなるわけだ。

 「そうした提案を長年実践してきましたが、それを今回の出版をきっかけに言語化したという形です」
 それでは、具体的に「足すこと」とはどういうことなのか。

 書籍冒頭のイラストを引用して説明すると、この4部屋はすべて同じ部屋であるが、モノがないミニマリスト的な部屋①に、ラグやクッションを足した部屋②。さらにアートやランプ、アクセントカラーを差し入れた部屋③。そして壁面にカラーを入れ小物もふんだんに取り入れる部屋④、といった具合に置くものによってインテリアはガラリと変わるのが一目瞭然で分かる。




中国の人物画を飾る。
様式の統一よりも個性が大切

 「もちろん、ゴチャゴチャにならないような最低限のカラーの選び方や、フォーカルポイントをつくるといったテクニックは本でも解説していますが、基本的にはあまりルールに縛られずに自由に『足すこと』が大切です。例えば、生活していると、帰宅してコートを脱いでソファーに掛ける、洗濯物を床に置く、といったこともありますが、部屋に色やモノが多い方が目立ちません。普段の生活も意識しつつ、自由にインテリアを楽しんでもらいたいですね」

 「本のタイトルにもなっているイギリスでは、まさに『足す』という考え方が伝統的に受け継がれています。イギリス人はモノをとても大切にしますから、例えば祖父から受け継いだ絵画、母にもらった家具などを大切に使いながら、自分が気に入った新しいソファを組み合わせる。その時点で統一感はありませんが、さらにそこに旅先で購入したオブジェを置く。そうして自分好みのインテリアをつくっていくんです。様式や統一感よりも個性を重視します」

 日本の場合、特にインテリアのプロに多いが、デザインテイストを合わせる、カラーは三色まで、あるいは様式・時代を合わせなくてはならない、といった教科書的制約が多く、それが足かせにもなっている。

 「新築一発主義でゼロベースでつくるのならそれも良いかもしれませんが、これからはリノベーションの時代です。すでに持っているモノを起点に組み合わせを考えていくのが現実的です。もっと自由にインテリアを楽しんでもらいたい、そんな思いを込めた本となっています」と語る飯沼氏。同書は一般ユーザー向けにまとめたものだが、『足すこと』を実践するための具体的なテクニックも多彩に盛り込まれている。プロユーザーにも必読の一冊である。

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