オンラインインテリアビジネスニュース

ログイン・登録 PC版

本紙紙面

2022年7月13日
【暮らしスタイリスト】高原美由紀氏


高原氏が手掛けた空間デザイン

 それではどうすればよかったのか、本当のニーズとは何だったのか、それを追い求めはじめた高原氏。大学・大学院に入り直して心理学や脳科学を学び、論文を読み漁り、空間が人に与える影響と人の幸せについて研究を続けたという。

 また動物の中で人間だけが住まいを他人に委ねてつくることから、人間が自分自身で住まいをつくるとどうなるのかという視点から、ホームレスのダンボールハウスの視察まで行ったというから驚く。その間も仕事を続け、仮説をもとにした提案も行っていった。

 「そのうちに、間取りを見ただけで夫婦仲や子育ての状況が分かるようになったんですね。それを論理的に体系づけたのが『空間デザイン心理学®』です」


高原氏が手掛けた空間デザイン

 その『空間デザイン心理学®』の核となる理論とは、空間に対する心理や行動には、動物共通の反応、人間共通の反応、個人特有の反応があり、三重構造になっているということだ。つまり、表面に現れる要望だけを捉えて形にしても、動物・人間に共通の反応を満たす空間でなければ幸せにならないわけだ。

 「動物・人間の共通部分を満たせば商業施設のデザインはカバーできます。個人宅の場合は共通部分に加えて、個人の特性の部分を科学的に引き出すことが不可欠です。『空間デザイン心理学®』では専用のカルテを用います。玉ねぎの皮を一枚一枚剥くように、その人の芯の部分に迫っていき、本当のニーズと特性を引き出し、それらを満たす空間を提案することが必要です」

 例えば、以前椅子を交換したいという顧客の要望があったそうだが、間取りを見た瞬間に夫婦仲に問題があると察知した高原氏は間取りと家具の配置変更を提案、その後は会話が増え家族全員が幸せになったそうだ。この時に、たとえセンスの良い高価な椅子を購入したとしても決して幸せにはならなかっただろう。

 「このようにインテリア空間というのは、住む人の人生を左右する大切ものです。インテリアコーディネーターは人の人生に関わるすごい仕事をしているんですね。美しさや機能性ではなくもっと深い部分を捉えて提案すべきだと思います」



 高原氏はこうした考え方を広めるべく協会を設立し、各種認定講座も実施している。より深く『空間デザイン心理学®』を知りたい人は、まずは講座の受講をおすすめする。

前へ 1 2
戻る


トピックス

本紙紙面

アクセスランキング

  1. 矢野経 2024年家庭用・オフィス用家具市場規模は1兆1400億円
  2. サンゲツ 企画展「壁を装う展 - Wall Covering and Beyond」開催
  3. シンコール 「第44回 JAPANTEX 2025」に出展
  4. トミタ 新作発表会「Autumn Inspirations 2025」東京・大阪で開催
  5. トーソー 「第44回 JAPANTEX 2025」に出展
  6. アスワン 「アスワンカーペット・ロボフロアー」新発売
  7. コスモスイニシア×WOOCが初の協業拠点を豊洲にオープン
  8. タチカワ テレビ朝日系ドラマ 「ちょっとだけエスパー」に美術協力
  9. 東リ 独自技術で「滑る床材」を開発 カーリング練習用シートを発売
  10. ハイムテキスタイル記念イベント「テキスタイルと空間デザイン」開催

IBNからのお知らせ

資料請求・お問い合わせ

©有限会社インテリア情報企画