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特集

2015年11月27日
【連載】Interian Color――一ささやかな心の洗濯
(社) 日本カラリスト協会 渡部尚子氏


高台寺臥龍池にて

 私事ですが、先日京都へ行ってまいりました。都合により日帰りという、なんとももったいなかったのですが、京都国立博物館の「琳派 京を彩る」展において、『風神雷神図屏風』が見たかったのです。このときは俵屋宗達、尾形光琳、そして酒井抱一の日本を代表する絵師が描いた作品が一堂に会するという、めったにない機会でした。江戸時代、17世紀に宗達が描き、その後18世紀に光琳が宗達の絵を模写し、さらにその約100年後、抱一が光琳の作品を模写した、とのこと。今回初めて知ったのは、抱一は宗達の作品を見ていなかった、と言われています。模写とはいえ、それぞれ作品には絵師独特の感性による表現の違いなど、それぞれに特徴のあるそれぞれの絵師を代表する作品であると思いました。

 この仕事に就いてから、勉強の意味もあり、年間50以上の美術展を見るようになりました。日本や西洋の絵画や版画が中心です。始めの頃は、どのように鑑賞するかよくわからず、作者や絵の題名を見て「ふ~ん」とただ眺めているだけでしたが、最近は少し慣れてきまして、特に色による表現、たとえば作品名に対してなぜこの色を使っているのか、といった色の役割、色の意味について考えながら見られるようになりました。かなり数多くの作品を見たので、テレビや雑誌などで作品があると、「○○の作品」と画家名を自問自答しております。

 私が美術展を見る楽しみのひとつに、会場の内装の美しさがあります。美術展のタイトルに合わせて壁紙を変えたり、説明ボードのデザインだったり、場合によっては展示室のレイアウトを変えたりと、工夫が凝らされている美術展が多く見受けられます。「この絵の背景にこの壁紙!」と感心することも、また「?」と思うことも。もちろん主役は絵であり画家だとは思うのですが、それを支える内装は、会場全体の世界を演出する重要なアイテムです。家やオフィスでは内装が変わることが少ない環境にいる私としては、美術展にいることで、違う世界に自分を置ける、とても有意義な機会となっています。

 京都では今、寺社仏閣の特別拝観の時期で、日頃見ることのできない建物やお庭、仏像、美術品などが公開されています。せっかく来たので信行寺の天井絵、東寺の五重塔内覧や十二神将、そして高台寺のライトアップなどを見てきました。弾丸ツアーです! 京都も大都市ではありますが、やはりその雰囲気は都会の喧騒とは違って、趣きや重きのあるたたずまい。ささやかではありますが、心の洗濯ができました。

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