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特集

2015年10月5日
【連載】Interian Color――一期一会の色
(社)日本パーソナルカラリスト協会 渡部尚子氏


藍の花と藍染めの数々

 『一期一会』は茶道に由来する言葉で、茶会での出会いは、一生の一度の出会いであることを心得て、亭主・客ともに誠意を尽くす心構えを意味します。今では、茶道に限らず「人との出会いの時間はたった一度きりのものであるから、そのひと時を大切に、最高のおもてなしを」という意味で使われ、これは「この人とはもしかしたら二度と会えないかもしれない、と言う気持ちで人と接すること」という意味にもとられます。

 街中では秋の気配が感じられ、コスモスが咲いている風景をテレビで目にしたり、紅葉情報なども聞こえたりしています。たとえば天気のいい日の昼間、花壇に咲いているコスモスの花色は、ピンク、濃いピンク、白などがはっきりと輝いて見えますが、夕方陽がかげり、薄暗くなってくると花色は少し青みがかって見えたり、グレーを混ぜたような色に見えたりします。つまり色の世界もまさに『一期一会』。色は光によって見え方が変わります。花壇に咲いている花の色は、その日の天気によって、時間によって、陽の光の加減によって微妙に変化しています。その時々の光が同じでなければ、たとえ同じものを見ていたとしても、同じ色ではないことになります。もちろん、それが人間の眼で判別できるかどうか、というのはまた別の話ですが。

 「草木染め」と呼ばれる、日本古来の染色方法。文字どおり植物の葉や根、木の皮などを使って色を染めていきます。たとえば絹糸を染める場合、まず染料を用意してグラムを量り、水の量も量って染料を溶かし、その液に糸をつけていきます。色ムラにならないように常に糸を動かしながら染めていくのですが、私のような新人が染めると、どうも均一には行きません。それが1度に10束ほどの糸を同時に染めるとなると、同じ時間染料に浸けて、同じように動かしているのにもかかわらず、やはり微妙に色に変化が出てしまいます。さらに再度同じ染料の量を使って、同じ時間浸けて違う糸を染めてみると、やはり先ほどの糸の色とはほんの少し違ってしまいます。これこそが『一期一会』。その時、その条件で染め上がった色は、たとえすべて同じにしていると思っても、同じ色には出会えないようです。編物をされる方は毛糸にロットがあり、同じロットで編むといいと聞いたことがあると思いますが、このロットこそが、同じ条件で一緒に染められた毛糸のグループです。

 『一期一会』と言う言葉が好きです。同じ染料でも染める糸や生地が違うと、また違う色合いになりますし、葉や枝を使った染色ですとその時期、季節によっても染まる色が変わります。染液につける時間の違いで、濃淡が生まれます。これこそが染色の魅力。どんな色に出会えるのか、ドキドキワクワクしてしまいます。技術的に未熟であるがゆえの色ムラも、「味がある」ということにして、楽しんでいます。

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