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2025年10月10日
【三菱地所が企業間シェア休養室「とまり木」本格始動】
体調不良時の「休養室」と労働生産性を向上する「チャージ機能」を提供
“インテリア健康学”の観点からリニューアル・デザイン
菜インテリアスタイリング


休憩室をシェア

 三菱地所(株)がさる4月1日より本格始動した、休養室の企業間シェアリング事業「とまり木」の利用者は、9月末までの5カ月で延べ3,000人を超え、契約企業は約20社という。

 「休養室」は労働安全衛生法において、従業員数50名、または女性30名以上の企業に、(男性用と女性用を分けて)設置する法的設置義務がある。(一社)日本リカバリー協会の調べによると、休養・抗疲労市場は年々拡大、2024年は6兆円と推計されており、2030年には市場規模14.1兆円へ拡大が見込まれるが、人事部に利用申請する社内ルールがあるなど利用時のハードルが高く、また会議室やロッカールームと兼用の場合に使いづらい、設置義務対象外の企業で従業員が休める場所がない、といった点が課題となっている。

 こうしたことを背景にスタートした同サービスは、三菱地所グループの新事業提案制度により生まれたもの。2023年10月の試験運用開始から、利用者が延べ8,000人を超え、企業及び利用者ともに一定のニーズを確認できたことから、今年度から正式にサービス提供開始することとなった。

 休養室を企業間でシェアする取り組みは国内初(三菱地所調べ)となる。企業は「とまり木」を契約することで、休養室設置の法的義務を満たすことが出来、企業規模等に依らず、従業員が必要な時に休養やリフレッシュをする場所をオフィスビル内に備えることが出来るとのこと。

 「とまり木」は、契約企業の従業員が業務時間内に、体調不良時に休むための「休養室」と、労働生産性を向上するための「チャージ機能」をオフィスビル内で提供するもの。現在は大手町ビル1F(東京都千代田区大手町1-6-1)にてサービス提供しており、チャージ機能としては、短時間(原則15分)で機器を使った仮眠やマッサージのほか、常駐するパーソナルトレーナーの指導によるストレッチ等、利用者(従業員)が体の状態にあわせ選択したメニューによって疲労回復や活力アップを図るという。

 三菱地所は今後、大手町をモデルに「とまり木」を丸の内や有楽町など他エリアへ展開、ビル就業者ラウンジでのPR等も検討しており、健康に働くことができるまちづくりを通じて、エリア特性に応じた新たな価値の創造を目指していきたいとしている(なお具体的なサービス内容は、今後変更する可能性がある)。

 ちなみに、「とまり木」ではこのほど、公衆衛生学修士である尾田恵氏(菜インテリアスタイリング代表)により、インテリア健康学の観点から、さらに“休憩の質を高める”ためのリニューアルを実施した。これは、「とまり木」を担当する三菱地所の三輪弘美専任部長と、公衆衛生学修士で、(一社)日本インテリア健康学協会の代表も務める尾田さんの出会いをキッカケに実現したもの。
 
「私も『とまり木』に、大きな社会的課題となっている健康経営の問題に、企業の立場からアプローチされている先進的な取り組みとして注目しておりました」と尾田さん。「『とまり木』では、マッサージチェア、光健康浴、常駐トレーナーによるパーソナル指導など、セルフケアのための多彩なメニューが用意され、1日15分の休憩を気軽に利用できる仕組みとなっています。1日15分と短時間の休憩でもパフォーマンスや健康への効果は大きいと言われています。その15分を“特別なリセット時間”にするため、インテリアの力でサポートする空間を目指しました(尾田氏)」とのこと。


小鳥を探すと自然に首を伸ばす健康姿勢に




オフィスチェアをリメイク

 インテリアのポイントとしては、まず、緑視率の向上のため、オフィスビル内に天井高一杯の3mの大木(幹は本物、葉はフェイク)を導入した。グリーンを見ることで、リラックス効果が得られるという研究は以前から知られているが、今回は、木の有機的なラインが3mの天井を這う空間とし、利用者に寄り添って、椅子で休んだり、床に寝そべったり、ベッドでストレッチの施術を受けたり、どんな体勢でも目の中に必ず緑が入る仕掛けとなっており、オフィスとのギャップを演出し、心身ともに休憩モードに切り替わるよう狙っている。

 また、高い位置にある枝には、何羽か小鳥を止まらせている。これは、「とまり木」のコンセプトにピッタリな装飾であるが、実はオフィスワーカー特有のストレートネックや肩こり対策で、自然に首を上げ、ストレッチするよう仕向けているのだという。

 このほか、三菱地所では東京駅周辺のオフィスで使われていた良質な家具をリユースする「エコファニ」を展開しているが、今回は倉庫から「とまり木」に合いそうなものを複数チョイス、アイコン的なチェアには張り地を人気のブークレのブラウンと、赤のコンビ生地に替えてリメイクし、設置。さらに、樹齢百年の無垢のクスノキを使ったテーブルは、有機的なフォルムと手触りを残した仕上げとした。
 「オフィス家具にはツルツル、ヒンヤリとした手触りのものが多いように思いますが、今回はブークレの張り地といい、クスノキの無垢板といい、あえてオフィスにないようなものを導入しています。人間の感覚器の中でも手の触覚は非常に敏感ですので、家具に触れることで、触覚からリラックスモードへの切り替えを狙っています(尾田氏)」とのことであった。






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