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2025年8月12日
【この人に聞く】
チヨダウーテ(株) 営業本部マーケティング室サブリーダー 根本久美子氏
100%リサイクル石膏ボード「CHIYODA CIRCULAR BOARD」
独自技術で廃石膏の再投入可能率の壁を克服


根本久美子氏

 チヨダウーテ(株)(平田芳久社長、本社=三重県)は、終戦から間もない1948年(昭和23年)に、厚型スレートの製造を手掛ける、千代田建材(株)として四日市市で創業しました。

 業容の拡大に伴い、現社名に変更したのは1990年(平成2年)のことです。「ウーテ」とは、Unique Technologyの頭文字UTEを掛け合わせたものです。

 石膏ボードの製造販売に本格進出したのは、1955年(昭和30年)のこと。2006年(平成18年)には、世界有数の石膏ボードメーカーであるドイツのKnauf社と資本業務提携を締結、2022年(令和4年)には子会社化され、同社グループ傘下の一社として今日に至っています。

 さて、チヨダウーテでは、2023年(令和5年)、世界に先駆けて、100%リサイクルによる石膏ボード「CHIYODA CIRCULAR BOARD」を発売しました。

 日本で使用されている石膏は、年間700〜800万トン。輸入の天然石膏を除くと、排煙脱硫石膏が約35%と主力となっています。排煙脱硫石膏とは、火力発電所等で排煙に含まれる二酸化硫黄(SO2)を、石灰石などを使って除去する排煙脱硫装置で副産物として生成される石膏のことです。

 しかしながら、世界的な脱炭素化の流れの中、我が国における火力発電所の稼働は、2030年の目標として41%となっており、長期的な需給の見通しを考えた場合、石膏ボードの原材料確保には、廃材リサイクルへの取り組みが急務であると言えます。

 その一方で、国立環境研究所の調べによると、廃石膏ボードの年間総排出量は、2023年時点で150万トンだったものが、2047年には300万トンと右肩上がりで増加していくと予測されており、最終処分場の逼迫が懸念されています。また、安定供給の側面からも、廃石膏ボードの再利用が求められています。

 ところが、従来の石膏ボードでは結晶の細かさから、廃石膏ボード由来の原料を10%程度しか利用することができず、廃石膏ボードのリサイクルがあまり進んでいませんでした。

 こうした中、「私たちは完全リサイクル可能な世界で最も環境に優しい石膏ボードと建築ソリューションを提供します」を企業としてのヴィジョンに掲げるチヨダウーテでは、再生石膏の課題を独自技術により解決、世界初100%リサイクル石膏ボード「CHIYODA CIRCULAR BOARD」として製品化を実現しました。

 これは、グループ企業のトクヤマ・チヨダジプサム(株)の独自特許技術により、廃石膏原材料を連続反応装置で再結晶化することで結晶の大型化を実現したものです。

 解体現場で分別された廃石膏ボードを、四日市、袖ヶ浦、室蘭にあるトクヤマ・チヨダジプサムの工場へ搬入、再結晶化し、再結晶化された石膏を利用してチヨダウーテが製品化することで、石膏ボードから石膏ボードへのリサイクルを実現する、循環システムとして展開しています(ボードの原紙も古紙を使用しています)。

 これに加えて、製造過程におけるエネルギー源についても、熱源を重油やガスボイラーからバイオマスボイラーへ転換、CO2排出量を平米当たり2.0キロ削減するとともに、電力も再生可能エネルギー由来の電力を使用することで、製造時の実質カーボンニュートラルを実現しています。

 エコマークの他、原料調達から製造時までの定量的な環境情報を検証する「SuMPO EPD」を取得しています。ちなみに、一般的な住宅現場で、「CHIYODA CIRCULAR BOARD」を400枚使用した場合、一般品と比べ、約67%のCO2排出量を削減できます。

 チヨダウーテでは、先に開催されたバンブーエクスポに出展し、多くの反響を得ました。インテリア業界と石膏ボード業界は隣接する異業種になりますが、この記事を通じて石膏ボードに興味を持って頂き、ご一緒にコラボ出来ることに期待しています。よろしくお願いします。

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