業務中にちょっとした休憩を取った方が、作業の能率は上がるという話は誰もが知っているが、休憩は業務と別だ、居眠りしてサボる者が出るのではないか、といった心理的な壁があって、そうしたオフィスワーカーのリフレッシュ策は、現実的にはなかなか進んでいないようだ。
「健康経営を掲げながら、世の中の一部の先進企業以外、大部分の企業はそこまで追いついていないのが現状でしょう。当健保には現在、74事業所の約7万人(被保険者+被扶養者の合計)が加入し、保健事業の対象者となっていますが、今後プロジェクトの成果を、組合加盟企業の皆さんに展開していきたいと考えています」
「パソコンを持ち出して、リモートワークや、カフェで仕事をすることが流行りましたが、今回はさらに一歩進んで、このオフィスにいるからこそ、気持ちよく働けるという訳です。時代は次のステップに進んでいくのだと実感しています。まずは、このオフィスにおける腰痛で休む人をゼロにしたいと思っています」とのことだ。
尾田恵氏に白羽の矢が立ったのは、インテリア健康学の観点および健康経営の側面から、科学的根拠に基づく提案が出来ることがポイントだったとのこと。デザイン性やトレンドといった感覚的な話ではなく、なぜそうなったかエビデンスに基づいて説明出来る点が、経営幹部に説明する上で非常に大切であるという。
リフレッシュルーム開設をキッカケに、
オフィスのペーパ ーレス化にも取り組み
リフレッシュルームのシンボルと言える、
大きなインドアグリーン。
手入れの負<担を考慮して、フェイクをベースに
また、今回は書庫スペースをリフレッシュルームに改装するに際し、プロジェクトをキッカケに、オフィスのペーパーレス化も一層進んだという。具体的には、サブスクリプションのサービスを利用して、運動習慣がない人でも、簡単に運動が出来る多彩な機能がある、見た目もユニークな椅子などを取り入れている。
全体的には、尾田さんの提案で〝きっかけ〞を意味する「CUE(休)」をテーマに、五感を刺激する、自然と足が向く空間づくりを目指している。まず視覚の面では、気持ちをポジティブにするカラフルなカラーコーディネートを導入。中央には、この部屋のシンボルとなる、リアルとフェイクを掛け合わせた大きな植木で緑視率を高めた。また芝生をイメージしたタイルカーペット(東リ)、プロジェクターで常時自然の森の映像を投影するなど、都会にいながら自然のなかにいるような感覚で癒すことを狙っている。
さらに、タイルカーペットは執務スペースと異なる柔らかな踏み心地の商品を採用し、空間に一歩踏み入れた時の足裏からの刺激も意識した。また、四季に応じたアロマや、森を思わせる環境音を流し、嗅覚や聴覚からの癒しも。味覚については、軽いおやつを常備していく。
「仕事に伴う様々な疾病リスクに、こうしたインテリアの力による対応策を提案することで、社会的課題である医療費の削減や、企業における収支改善に貢献出来れば幸いです」と尾田さんは話している。
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