お盆休みは、米国の刑事ドラマシリーズをイッキ見していました。尋問のプロである女性刑事が容疑者を巧みに追い込むさまに引き込まれる一方、さまざまな場面で頻繁に登場するカーペットが気になりました。住宅で倒れている被害者は必ずカーペットの上で血を流しているし、「警部!被害者はこのカーペットに包まれていました」といった台詞が飛び交うなど、さすがカーペットの本場ならではの存在感です。
敷かれているカーペットも実にさまざま。寝室は毛足の長いタフテッドカーペットを敷き詰め、リビングにはラグが多用され、豪邸にはラグジュアリー感あふれる織りじゅうたん等々。そこで連載10回目の今回は、やや強引ですが、カーペットの基本的な分類をご紹介しましょう。右表は冊子「新訂カーペットはすばらしい」56ページに掲載の「製造方法による分類」です。大きくは、パイル(カーペット表面に出ている繊維の束)があるかないかで分け、そこから細分化されます。
詳細は分類表をご覧頂くとして、国内でもっとも生産量の多い「タフテッドカーペット」は、一次基布にパイル糸を通した針を刺し込んでいく手法(=刺繍)を用いて作るものです。タフト生機にジュートや不織布を貼り合わせると「ロールカーペット」や「ラグ」などに、塩ビ樹脂・ガラス補強材と貼り合わせると「タイルカーペット」になります。
ホテルなどで敷かれることの多い「ウィルトンカーペット」の製造は、パイル糸(1~5色)と数本の地組織糸(たて、よこ、しめ糸)を同時に織ってパイルを作る手法(=織り)を使います。柄出し装置(ジャカード)を用い、さまざまなデザイン表現が可能です。
同じく織り手法の「アキスミンスターカーペット」は、あらかじめ定められた順序に従って配列したパイル糸を、連続した列に織り込んで作るものです。12色まで使える織機、20~30色まで可能な織機があります(カットパイル限定)。
展示会場などでよく使われる「ニードルパンチカーペット」は、短繊維をウェーブ状に積層し、トゲ付きのニードル(針)で突き刺して繊維を絡ませながらフェルト状にして作ります。
と、ここまで説明してきましたが、文章やイラストだけではイメージしにくいという方も多いのではないでしょうか。そこでオススメしたいのが、日本敷物団地協同組合(大阪府堺市)が昨年制作した動画「OASHIMOTO~カーペットを巡るストーリー~」です。紡績や染色の現場も含め、さまざまなカーペットの生産工程をおさめた動画であり、YouTubeで閲覧することができます。
“お足元”を支えるカーペットのバーチャル工場見学にレッツゴー!(日本カーペット工業組合事務局)
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