「内装材」に特化したパレットを導入し、物流課題に対応
(株)サンゲツは、社会課題としての重要性が高まる持続的な物流体制の強化に向けて、特許取得の「Vパレ」を採用した独自のユニットロードシステムを導入、物流時におけるトラックへの壁紙の積み込み・積み降ろしの作業時間を約87.5%短縮した。
壁紙は調達先のメーカーより約50mの巻き物状の荷姿(長辺約90センチ、重量約20キロ)で入荷される。従来の調達物流では、メーカーでのトラックへの積み込みと、サンゲツのロジスティクスセンターでの積み降ろしは、ドライバーの手で一本ずつ「バラ積み・バラ降ろし」が行われ、その作業には1運行あたり約240分もの時間を要していた。また巻き物状の壁紙を輸送時には縦積み、入庫時には横積みにするなど、人力での作業負荷も高い状況となっていた。一方、外部環境においては、自動車運転業務の時間外労働の上限規制が適用された「物流2024年問題」をはじめ、物流業界全体における労働環境の変化や人手不足の慢性化、そして輸送能力の低下が深刻な社会課題となっている。
サンゲツはこれらの課題に対応するため、2024年6月に経済産業省が主導する「物流効率化に向けた先進的な実証事業」に参画、補助事業者に採択され、物流の効率化と持続性向上を目指した取り組みを進めてきた。
「Vパレ」を活用した縦積み、横積みのイメージ
壁紙の入庫の様子
その中で同社は、調達先からの輸送、庫内荷受け、搬送、格納までを一気通貫でカバーするユニットロードシステムを導入した。同システムは、回転式パレット「Vパレ」と回転フォークリフトを組み合わせることで、スピーディかつ効率的な「パレット積み・パレット降ろし」を実現するもの。これによりドライバーの負担を大幅に軽減するとともに、トラック積み込み・積み降ろしにかかる作業時間を約87.5%短縮(約240分から約30分に削減)することに成功した。
同社は、ユニットロードシステムのコア技術である回転式パレット「Vパレ」の構造について、3件の特許を取得した。この回転式パレットは、ロジスティクス部門の社員が「搬送時と保管時における商品の積み方を変えられるパレット構造」というアイデアを考案したことが導入のきっかけとなっている。2つの底面にフォークリフトのフォーク挿入孔を備えた設計により、「パレット積み・パレット降ろし」を実現し、効率的かつ安全な物流システムを構築する。なお、これら3件の特許は補完関係にあり、今後も知的財産に関して強固なポートフォリオを築いていくとしている。
なお同システムは、全国8カ所のロジスティクスセンターのうち、旗艦拠点である北関東LC(埼玉県久喜市)と中部LC(愛知県稲沢市)で導入が進められており、今後は全国のロジスティクスセンターへの拡大を目指す。
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