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2020年6月10日
【シリーズ 私の提言①】(5月25日号のつづき)
ステイホームで気づく住まいの幸福とインテリアの可能性 後編
株式会社LIFULL LIFULL HOME’S総研所長 島原万丈



【ステイホームで気づく住まいの幸福と
インテリアの可能性 前編】 はこちら


5.住まい産業の中のインテリアの立ち位置

 「家具や什器が住宅を住まいとして成り立たせている」と、デザイン評論家の柏木博は、インテリアを主題にして、家という居場所の意味を読み解く(「わたしの家 痕跡としての住まい」2013年、亜紀書房)。このような発想は、日本の住宅の供給を受け持つ建築・不動産の業界サイドには、これまでなかったものだ。

 日本の住宅建設と流通にかかわるメインプレイヤーである建築業界と不動産業界は、インテリア産業を住宅産業の一員として見なしてこなかった。家具やファブリック、家電、雑貨、アート、グリーン、食器にキッチン用品などなど、それらは消費財であり動産であり、不動産や建築の後に付随するもの、住まい手が勝手に付け加えるもの、として軽視してきたところがある。

 住宅産業とインテリア産業の間の溝は、建築設計事務所のポートフォリオを見れば、端的に納得してもらえると思う。建築家の作品として紹介される新築住宅の写真は、建物の竣工後、家具やファブリック、家電製品、その他生活に必要なあれやこれやの雑貨が搬入される前に、急いで撮影されたものだ。もちろん壁紙や床材や設備や造作家具はインテリアの一部ではあるが、建築家にとって、建築物と一体化していないインテリアは自分の仕事の範疇ではないと思われている。住まい手の持ち込むインテリアがデザインを汚す前の空っぽな空間が、建築家が考える家なのだ。そこには彼の頭の中にある業界の序列の優越感が透けて見えている。

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