東京・港区のパナソニック汐留美術館にて、企画展「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が、10月4日(土)〜12月17日(水)の期間で開催されている(主催:パナソニック汐留美術館、日本経済新聞社、後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京、オーストリア大使館観光部、港区教育委員会)。
同展では、19世紀前半のビーダーマイヤーと世紀転換期という、ウィーンの生活文化における2つの輝かしい時代を取り上げ、銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具など、多彩な作品を紹介。両時代の工芸やデザインに通底する、生活に根ざした実用性と快適さ、誠実で節度ある装飾、そして自然への眼差しと詩的な遊び心といった、両時代に共通する美意識を、相互比較や空間構成によって体感出来るものとなっている。
ウィーンは19世紀から20世紀初頭にかけて、独自のモダン・スタイルを築いてきた。オットー・ヴァーグナーが実用性と合理性を重視する「実用様式」を提唱し、その思想に共鳴した弟子ヨーゼフ・ホフマンらが推進したウィーン世紀末のデザインは、幾何学的で建築的な造形を特徴とし、実用性と快適さを実現する機能美が備わっていたとされている一方で、1920年頃には幻想的で装飾性豊かな作品も生まれ、一元的な様式にとどまらない多様な造形へと発展する。この世紀末におけるデザイン革新の背景には、19世紀前半のビーダーマイヤー様式への回帰があり、手工業の質の高さ、模倣ではない主体的なデザイン、自然モチーフへの親しみは、世紀末のデザイナーたちにとって「近代的な住文化の出発点」として賞賛されたとのこと。過去の遺産を意識的に継承し、造形の基盤として参照しながら、より時代に即した造形に発展させることで独自の「ウィーン・スタイル」が獲得されたという。
同展では、こうした「ウィーン・スタイル」のありようを、両時代のデザインや工芸作品はもちろん、グスタフ・クリムトの繊細な素描作品や、当時際立った存在であった女性パトロンや文化人の活動、女性デザイナーたちの仕事にも注目することで、多面的に取り上げ、世紀末ウィーンを越えてなお継承されるそのスタイルについても検証している。
入館料は一般1500円、65歳以上1400円、大学生・高校生1000円、中学生以下無料(障がい者手帳を提示の方、および付添者1名まで無料)。なお土・日・祝日は日時指定予約制(平日は予約不要)
「ウィーン・スタイル」を紹介
会場の模様
会場の模様
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