
「集客ができない」、「最近、反応が鈍っている」、「チラシを撒いても問い合わせがない」。こうした声の裏に共通した問題がある。それは、どの「海」(商圏)で戦っているのかを決めていないことだ。
前回、販促は「打ち手」ではなく「設計」であると定義した。その設計の最初の工程が「海」、すなわち商圏設定である。ここが曖昧なままでは、どのような販促活動を行っても安定した成果は得られない。

多くのインテリア専門店が商圏を「車で20分」、あるいは「半径5キロ」などと設定している。しかしそれは、ただの地図上の円にすぎない。商圏とは距離ではなく、自社が勝てる可能性のあるフィールドの定義である。
例えば、築3年以内の新興分譲地。見た目は整い、生活する世帯も若い。インテリア市場としては魅力的に映る。しかし実際には、大きな困りごとが顕在化していないケースが多く、まだ「買う理由」が発生していない。ここは「きれいなエリアだが食いつかない海」である。
一方で、築15〜25年の戸建住宅が密集するエリアはどうか。外壁の劣化、水回りの更新、カーテンの掛け替え、床鳴り。こうした現実的な課題が積み重なっている。
どちらの海が魚を釣りやすいのかは明白である。
単に距離で商圏を決定していては、この見分けをすることができない。そうであるのに、一律に販促を行えば、思うような反応が得られない。反応が悪ければ媒体を変える、チラシがだめならDMにする。それもだめならWEB広告。さらにはSNS。しかしそれは、竿(道具)を変えているだけで、海については、一度も検証されていない。
「紙媒体は効果がない」、「今はSNSの時代だ」。本当にそうなのだろうか。海が間違っている可能性を真剣に考えたことはあるのだろうか。
商圏設定とは本来、どのエリアに、どの住宅特性があり、どの世帯が、どの段階にいるのかを読み解く作業である。それをせずに打ち手だけを変えていく。それは戦略ではない。ただのギャンブルである。
海を決める前に、前提としてしっかり把握しておかなくてはならないことがある。それは自らの「船」の大きさ、すなわち会社の規模のことだ。
海を見渡せば、近くには大型量販店、いわば巨大な漁船がいくつも押し寄せ、大勢の乗組員が大きな網を用いて、魚を一網打尽にしようとしている。空を見上げれば、ネット通販業者が大挙して襲来し、魚を一本釣りしようと虎視眈々と狙っている。こうした業者の場合、それこそ商圏設定は距離でも何でも構わない。極端に言えば、なくてもいい。
一方、インテリア専門店という「船」はとても小さい。乗組員も数名だ。予算も限られている。当然ながら、巨大漁船と同じことはできない。
それなら巨大漁船の網の届かない場所、あるいは網をすり抜けた魚など、より精密でピンポイントな商圏設定が求められる。
まずは自らの「船」の規模を理解し、それに合わせた詳細な商圏設定をすべきなのである。
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