当組合はNHKによく不満をぶつけています。昨年は朝の人気番組「あさイチ」、直近では子ども向け教育サイト「NHK for school」の動画に対し、いずれも“ダニ問題”に関する内容で抗議文を送りました。
とにかく、「ダニ=カーペット」という前提で番組や動画がつくられるのです。カーペットにいるダニをことさら強調し、ダニアレルギーとカーペットが関係あるかのように見せる――NHKはそうした意図はないと言いますが、私たちは納得できません。
梅雨前になると、これはNHKだけでなく、「ダニ」に関する番組や記事が多く出てきます。そこでまた「ダニアレルギー対策としてカーペットを敷かないで」というような情報が発信されますが、言うまでもなく誤報です。是非とも業界の皆さんには真実を知っていただき、周囲の方にも本当のことを伝えてください。
連載6回目の今回は、改めてカーペットが“無実”であることを述べたいと思います。
床材種類別のアレルギー有症率 カーペットが最も低い
私たちは何もむやみやたらに“カーペットは無実だ”と言っているのではありません。それを示すさまざまな資料が国内外に存在します。代表的な資料の一つ、兵庫県の西宮市環境衛生局が平成2年にまとめた「ダニアレルギー調査報告」をご紹介しましょう。
同市は1985年から数年間にわたり、室内のダニとアレルギー発症の関係について調査し、その結果、「ぜんそく発作の誘発は、寝室を含めて床のダニ数との関連は余り認められず、使用している寝具類のダニ数がぜんそく発作に大きく関連していることが傾向として認められる」と結論づけています。
さらに調査総括として、「(ぜんそく患者のいる家庭でカーペット、畳などの床材を)フローリング、コルク等、フラットな材質に改造することは、好みの問題であっても決して疫学的に積極的意義のあることではない」としています。
西宮市はまた、小中学校の児童などを対象にぜんそく調査を実施(調査書配布4万7千枚、回答回収4万枚)。子どもたちの寝室等の床材(カーペット、フローリング、畳など)と喘息などの有症率との関係を調べたところ、「カーペット」はぜんそくの有症率が最も低い結果となりました。他のアレルギー疾患(鼻炎、アトピーなど)においても「カーペット」は他の床材との有意差はありませんでした。
以上のことから、カーペットとダニアレルギーとの関連性は非常に薄いものであることが分かります。カーペットが諸悪の根源のような扱いを受けるのはまったく不当としかいいようがありません。
国内外における他の研究結果なども含めて考えると、有効なダニアレルギー対策とは、最大のダニ供給源である寝具の適切な管理とともに、室内を清潔に保ち、ダニアレルゲンを含むハウスダストを室内に舞い上がらせないことだと思われます。
冊子「新訂カーペットはすばらしい」の6~7頁“ダニアレルギーは無関係”も合わせてご覧下さい。
次号では、カーペットこそダニアレルギー対策に役立つ(ハウスダストが舞い上がりにくい)ものであることをご説明したいと思います。(日本カーペット工業組合事務局)
【お知らせ】
冊子「新訂カーペットはすばらしい」はこのほど、発行から2年が経過いたしました。
今後、さらに多くの方にご覧いただけるように、4月からPDFファイルで公開しています。
当組合ホームページにアクセスしてください。
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