「月島荘」
イヌイ倉庫(株)(乾 康之社長)は、東京・月島三丁目の同社所有地で開発を進めて来た、全644室のシェアハウス型企業寮「月島荘」の竣工・引き渡しを受け、来年1月の本格稼働に向けて、このほど共住環境の運営テストを開始した。同運営テストの参加企業は、ネスレ日本(株)、全日本空輸(株)、聖路加病院、三菱地所グループ、(株)東急コミュニティーなどの各社。
「月島荘」(所在地:東京都中央区月島3‐26‐4)は、都営大江戸線・勝どき駅から徒歩5分。近年再開発が著しく進み、超高層マンションが林立する湾岸地域の中でも、下町の風情が色濃く残るエリアに立地、月島もんじゃストリートにも隣接している。大正14年に創業し、この地域で80年以上前から事業展開して来たイヌイ倉庫では当初、同地で超高層物件の建設を計画していたが、2011年3月11日の東日本大震災を受け、目先だけの経済動向には興味がないというオーナー経営者のトップダウンにより、より長く地域に貢献出来るビジネスとして、若いビジネスマンに職住近接のワークスタイル&ライフスタイルを提案する「月島荘」の推進に踏み切ったとのこと。ちなみに、これは震災発生から1週間というタイミングであった。
「月島荘」は敷地面積6647平米、延床面積23423平米。地上8階建て・地下1階の建物3棟で構成されている。居室は全644室。1室あたりは18平米(トイレ、シャワーブースを含む)であるが、クラスターごとに共用のキッチンとリビングがあり、居住者が全体でシェアする共用施設についても、キッチン&パーティールーム、大浴場、ジム、ライブラリーラウンジ、シアタールーム、スタディルーム等々、非常に充実している。これは、自室に籠るのでなく、出来るだけ共用施設に出て、他の居住者と交流してもらいたいとの考えを反映したもの。
冷蔵庫やデスク、ベッドなど居室に必要な最低限の備品は完備されているが、カーテンについては、空間の狭さを解消するため、開口部が通常より大きいため、同社から提案するものからチョイスして購入してもらうことを考えているという(狭小住宅にありがちな、袖壁、下がり壁に囲まれた暗い掃き出し窓とせず、下がり壁のないカウンター付きの開放感ある開口部とし、外部との連続を保っている)。
契約形態は2年間の法人契約。保証金は1社300万円(敷礼不要)。1室当たりの賃料は10万5000円、共益費7000円(光熱費別途)。1社当たり最大50室まで利用出来る。
「月島荘」は、クラスターという生活の基盤となる単位を設定し、複数の企業の社員が施設をシェアする新しいスタイルのシェアハウス型独身寮である。リーマンショック以降、少なからぬ企業が固定費を圧縮するため、社員向けの社宅や寮を遊休資産とみなし、手放す傾向にあったが、このところ、独身寮のような昔ながらのスタイルを見直す流れも出て来ているとのこと。同社では、本業の倉庫業のほかに、賃貸事業も多彩に運営しているが、シェアハウスの形態では初めてであるため、トップの決断を受けて、担当社員が(株)リビタのシェアハウスに住み、具体的な運営のノウハウを、生活体験を通じて学んだという。
社宅・寮に関わる市場は、新入社や定期異動がある4月を中心に動くため、同社では現在まさに営業的な仕掛けを本格化させたところ。今回はフル稼働に先行して、「月島荘」の計画に関心を示した企業の協力のもと、各社の社員に仮入居してもらい、運営テストを実施することになったもので、当面のところ、イヌイ倉庫の社員も一緒に居住して、自治権をもつ居住ユニット(クラスター)を形成して、それぞれの単位でシェア生活の“試運転”を試みていく。
なお、居住形態としては、クラスターごとに、あえて違う価値観・文化をもつ様々な企業の社員をミックスして住まわせ、たとえば公用語が英語のクラスターなど、あるライフスタイルを志向するグルーピングを行い、お互いに刺激し合える雰囲気づくりを目指す。また企業によっては、同一フロアに男女の居室が混在する形態より、女性専用フロアが必要との意見もあることから、今後具体的なニーズがあった場合には、柔軟に対応したいとしている。
クラスターリビング
ライブラリーラウンジ
キッチン・ダイニング
【月島荘】事業施工者:イヌイ倉庫(株)/設計監理:(株)三菱地所設計/施工:東急建設(株)/FFE:(株)メック・デザイン・インターナショナル/管理:(株)東急コミュニティー/企画コンサルティング:(株)リビタ
|
|
世界最大級のBtoB消費財見本市「アンビエンテ2025」