特集

2009年3月7日配信

2009年03月07日配信
MAISON&OBJET2009トレンドウォッチング--プロダクト編
見どころピックアップ!!
-海外情報
×   専門店の立場で見た「メゾン・エ・オブジェ2009」展の傾向を、2人の掛け合い形式で報告する。
西垣英樹氏
(decorators代表)
越川洋平氏
(オーブインターナショナル代表)

プロダクトのトレンド
越川 今回はメゾン・エ・オブジェでのエディトゥール以外の所から、ボクたちがトレンドを感じ、気になった物をピックアップしていきます。
ヒデキ
ヒデキは先ずは、ハイムと絡めちゃうんだけどイリュージョニストな壁の凹凸、不規則なのって新鮮に見えたのでこれ。メゾンではないけど、同時期にポンピドーセンターで開催されていた“ロン・アラッド展”もこんな感じでした。
越川
ボクは先ずこれですね。一見何て事ないけど、良く見るとフレームとサイドボードはクロコの型押し、クッションにはしっかりプリーツが取ってあって、さりげないけど押さえるところ押さえていて素敵でした。
ヒデキ
街の素敵なインテリアショップで見つけたランプシェード、やっぱりメゾンに出てました。ルベリなんかのプリント生地を使っていて、かっこいいんだよね~。フィレンツェなんかのタッセル屋さんにありそうな感じでGOOD。デザインはクラシコなんだけど遊びが効いててエレガンテ。
越川
アンティークチェストにモダンな塗装を施した物は最近良く見るけど、逆にエイジングを通り越してジーンズの様にダメージ加工されたチェストとテーブル。フッと肩から力を抜くのにちょうど良いアイテム。シルバーの仏陀の頭像と合わせているところもGOOD。
ヒデキ
ノスタルジックを感じるんだけど、けっして古臭くないまったく新しいスタイルやデザインが求められてるんでょ、の象徴的なシャンデリア。モスクの頭か太閤饅頭ようなデザインは何スタイルとは言えないんだけど、なんとなく既視感あり。それでいて新しいよね。
越川
トレンドブースでも使われていたし、あちこちで目にしたレターブロック。街のインテリアショップでもよく見るし、もはや定番アイテム。何を並べるかにセンスが問われるけど、やっぱり「LOVE」が一番人気のようでした。
ヒデキ
これもトレンドのアイコンクラッシュのイメージ。このハートはいろいろなチェストの表面材や取っ手のコラージュ。こんな鮮やかな色のクラシックなスタイルのチェストが置いてあったら恐れ入りましたですよ、きっと。
越川
ミッソーニもこれやりますか~。パープル+メタルの中にひっそりとミッソーニらしいプリントのクッションが入ってはいるけど。時代の流れなんでしょう。でもきっちり“らしい”ディスプレーもしてましたよ、ご安心を。
ヒデキ
メゾンでは思ったよりは出てなかったですが、イスラムデザインやアラビックデザインはサイドオーダーでいいんで、注目しててもいいんではないでしょうか。
越川
マルチカラーのモザイクは押さえておくべきでしょう。今年もちらほら見えたけど、来年はグッと増えるんじゃないですかね。
ヒデキ
お部屋の中のグリーンはなおいっそう南国系に進みそうです。以前は日本では越冬が難しかったものも、きっと温暖化で越冬しやすくなってきたんじゃないでしょうか
越川
欧米のブラインドメーカーは部品だけを作り、“ファブリケーター”と呼ばれる所が部品だけを調達していろいろなデザインを施して販売するのが一般的らしいんだけど、それだけにユニークなデザインも沢山。これなんか蛇革貼っちゃってますよ!
ヒデキ
ここ2・.3年はやるはやるといわれながら、まったく手ごたえがなかったベルベット(あくまでも個人的にですが)。今年は、フランクフルトでもケルンでも、もちろんパリでも、ソファーもチェアーもベルベットでバシバシ覆われていました。
越川
オーバルバックチェアなどのアンティークデザインフレーム+デジタルプリントの張り地、という組み合わせも良く見られました。
ヒデキ
色遊びのの基本形、パイピングがやけに新鮮に見えたのはヒデキだけでしょうか?
越川
遊び心はどこかに必ず欲しいところ。ここのブースは毎年遊びが一杯で、いつもボクたちを楽しませてくれます。
ヒデキ
こういうアールデコッぽいクロスやファブリックをエレガンスにあわせていくのが新鮮なんですね。きっとデコデコやるだけじゃ、けしてクリアーできない時代なんですね。オーッ、こわ~
越川
レーザーカットはコスト面でも使いやすくなったのでしょう、いろいろなシーンで使われていました。今年特に目に付いたのは敷物系。フェルトやクッションフロアーをレーザーカットでデコしちゃってます。既にパリのインテリアショップでも並んでました。
ヒデキ
おもちゃばこをひっくり返して、ジャンクなものをゴージャスの象徴シャンデリアにしちゃう。ジャンク×ゴージャス、こんな究極のミスマッチがいけてるんです。
越川
ハイムのトレンドセッターとして、一躍注目の的となった南村弾クン率いるDANプロジェクトは今回初出展。自身で撮った写真を使ってインドでデジタルプリントしたクッションカバーは特に評価が集まり、英国の大手インテリアショップをはじめ、数社から既に引き合いがあったそう。今乗りに乗ってる感じがしました。
ヒデキ 長く楽い旅も終わり、最後に振り返ってみてどうだった?
越川 一言で言えば「正常進化」でしょうか?ここ数年新旧や洋の東西など、とにかく“ミックス”がキーワードになっていたけど、それがさらにダイナミックに進化しているし、“エコ”もただ自然を大事にするだけでなくて、それでしっかりデコレーションできるようになってる。目新しさは少ないかも知れないけど・・・。
ヒデキ ヒデキ的には面白かったー!が正直なところ。確かに不況で削れた部分もあったんだけど、その分余計な部分が削ぎ落とされてて、スッキリしてたな~。テイスト自体はいろんな方向に細分化していくんだけど、その分自分の基準値や選択肢も広がっていくんじゃない?例えば癒されるインテリアは、今までならナチュラルな布や革張りのソファがあるような落ち着いたBR&BEの世界が基本だったんだけど、価値観によっては(本人が癒されるなら)ピンクのクロコ型押しの壁にペールグリーンプラスチックのソファにメタルファブリック、なんていうのもアリになっちゃった。
越川 自由度が増してますよね。特に、“抜き”とか“楽しさ”方向のバリエーションが増え、ますます多様化している。その分、それを上手く組み合わせるテクニックと自由な発想が求められられている感じがします。
ヒデキ 別に全く新しくなくたっていいんだよね、古臭く見えなきゃ。新しい物ではなくて、新しい感覚をきっと模索しているんだよ、きっと。2000年になって10年経って、21世紀のスタンダードをそろそろ見つけたいんだよ。それは“もの”ではなくて、センス。

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