本紙紙面
【2025デザイントレンドレポート】
全体を通して今年を象徴するキーワードを2つ挙げるとすれば、Nostalgia(懐かしさ)とimperfection(不完全さ)ではないでしょうか。1つ目のNostalgiaですが、クラシックとは少しニュアンスが違い、レトロな雰囲気がベースにありつつ、スケールを大きくするなどして新しく見せる手法も良く見られました(⑰)。その辺りはグエル・ラ・マドリッドが得意とするところで、ゴブラン風の織り柄もポイント使いしたい柄ですし(⑱)、ゴブラン風は他のブランドでも増えつつありました。
2つ目のimperfectionは、「手描き風」、「ムラ・にじみ」、「不均一」の3つに分類できます。手描き風のデザインはあちこちで見られましたが、一番印象的だったのはCASAMANCE。こちらもアーティストとのコラボで、縦リピート295cmというスケールの大きさと水彩画風のタッチで、注目を集めていました(⑲)。ちなみにカサマンスは新たにラグのコレクションを始めたり、ISSEという新しいブランドを立ち上げたり、話題も多く、最も勢いを感じたブランドです。
「ムラ・にじみ」では、ピエールフレイのこちら(⑳)。和紙をたたんでインクに付けて、そのにじみを再現したというデザインですが、それを緻密な織りで表現したのが今のハイブランドらしいところ。この柄も高い注目を集めていました。
「不均一」ではフィッシュバッハのこれですね。リサイクル糸を使った総刺繍で、自然の荒々しさをダイナミックに表現した見事なデザイン(㉑)。めちゃくちゃカッコ良かったです。
昨年に引き続き、ヒョウ柄、トラ柄は今年も健在です。ヒョウ柄は、少し崩したデザインが多く見られて、中でもジムトンプソンのこちらは目に留まりました(㉒)。ベルギーのデザイナーとコラボしたこちらのコレクションは、手描き風のタッチでフェミニンな色使い。デザイナーは若くて可愛らしい女性なんだろうな~と思ったら、まさかのダンディなおじさまでした(笑)。
見ようによってはヒョウ柄にも見えるし、地表のようにも見えるという柄の生地ですが、こちらは4SPACESというスイスのブランドで、今年から日本に入って来る予定です(㉓)。ファッショナブルで尖ったデザインが多く、かなり面白いので楽しみに待っていてください。
チベタンタイガーは今年も健在で、今年はキファソのこちらがもっとも魅力的でした(㉔)。キファソはJABグループに入って25周年だそうで、お祝いムード一色でした。
今年のデコオフで一番話題になったのが、ピエールフレイの特別展示。ホテルだった廃虚を丸ごと借り上げて、新作の生地で設えられた展示は、まさに没入型のアートそのもの。ファブリックスの可能性を広げるような見事な世界観で、中でもロビーのこの展示は圧巻でした(㉕)。
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