よくある失敗例が、「すべての人」に向けた販促だ。「多くの人に届けたい」と思うばかりに、できるだけ広く訴求しようとする。価格、品質、デザイン、対応力。これらをすべて盛り込んだチラシになる。その結果、一つひとつの要素が希薄になってしまい、誰にも刺さらない販促になるのである。
それではどう考えればいいのか。結論はとてもシンプルである。
それは「狙う魚は、一種類に絞る」ということだ。あれもこれもと狙うのではなく、今回の販促で反応して欲しい顧客像を一つに定める。その一種類に定めた顧客に対して、徹底して有用な情報を提供していく。
そのためには、年齢や家族構成、住まいの状況(築年数など)、困りごとといった要素を具体的に整理する必要がある。
さらに重要なのは、「対象外」を明確にすることだ。「とにかく安ければいい」という層なのか、それともそこを対象外とするのか。誰に売るのか決めると同時に、誰に売らないかを決める。それが魚を定めるということである。
魚が違えば、使うエサも変わる。「安心して任せたい」人に対して、価格の安さを強調しても響かない。一方で価格を重視する人に対して、想いやストーリーを伝えても届かない。多くのインテリア専門店は、インテリアにこだわりの強いユーザーを魚に選んでいるが、販促については価格の安さを強調しがちだ。それでは、狙った魚は釣れない。
誰に届けるのかによって、何を伝えるのか、どの順番で伝えるのか、どのような言葉を使うのかは違ってくる。チラシの見出し一つ、写真の選び方一つで反応は大きく変わるのである。
そして、ここでも重要になるのが自社の状況である。大型漁船のようにすべての魚を釣ることはできない。自社の強みは何か、どの顧客層で成約率が高いのか、どのような提案が評価されているのか。過去の実績を振り返ることで、自社が釣りやすい魚が見えてくる。
魚もまた、広げるものではない。見極めるものなのだ。
ターゲットが定まれば、「伝える内容が整理される」、「言葉に一貫性が生まれる」、「訴求の軸がぶれなくなる」。その結果、販促の精度は大きく高まるのだ。
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