リノベーション
2025年12月13日配信
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」決定

総合グランプリ 合同会社つみき設計施工社「人間は、つくることをやめない」
(一社)リノベーション協議会は、2025年を代表する魅力的なリノベーション作品を決定する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」の授賞式及び選考委員による講評会を12月11日、東京大学本郷キャンパス内にて開催し、総合グランプリに合同会社つみき設計施工社「人間は、つくることをやめない」を選出したほか、各部門賞を決定した。
漫画家で「魔法のリノベ」作者である星崎 真紀さんをゲスト選考委員に招き開催された今年度の「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」は、予算別に「800万円未満部門」「1500万円未満部門」「1500万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設けており、全国からエントリーされた計206作品から、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性という点にフォーカスしてSNSを活用した一般ユーザーの声を取り入れた一次審査を通過した60作品を(従来のノミネート作品という呼称を変更して)入賞作品として選出。住宅系メディアの編集者を中心とした8名で構成された選考委員が最終選考を実施し、総合グランプリ、部門別最優秀作品賞4点、特別賞15点、プレイヤーズチョイスを決定した。
なお、授賞式の席上、「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」は、来年度よりリノベーション協議会の非会員でも作品をエントリー可能とする、オープン化の方向で検討されていることが言及され、今後ますますの活性化が期待される。
さて、総合グランプリに選ばれた、合同会社つみき設計施工社の「人間は、つくることをやめない」は、住宅需要が急増した1971年に登場した「セキスイハイムM1」を、専門家が基本的性能を整えた上で、家族と100人以上の仲間が数カ月にわたってDIYで仕上げた事例。つみき設計施工社はリノベーション・オブ・ザ・イヤー初エントリーで総合グランプリ獲得の快挙を達成した。同社は「参加型リノベーション専門工務店」と名乗り、2010年の創業から「ともにつくる」を理念とするDIYリノベーションの仕事を続けて来たが、日本の工業化住宅を象徴する鉄骨ユニット工法の先駆とされ、安定品質と短工期・低コストを実現した「セキスイハイムM1」をリノベーションした同作品は、単に楽しいDIYリノベーションという範疇に収まらず、日本の近代住宅史に照らしても非常に示唆に富み、ハコに新たな意味と感情を与える創造的行為である点が評価された。
「800万円未満部門」の最優秀作品賞に選ばれた(株)フロッグハウス「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」は、賃貸市営住宅のリノベーションとして、ポイントを対面キッチンの新設と窓断熱、換気計画に絞り、住宅機能の底上げにより、暮らす環境の改善に立ちかえった事例といえる。

「800万円未満部門」最優秀作品賞に選ばれた(株)フロッグハウス「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」

「1500万円未満部門」最優秀作品賞 (株)コスモスイニシア「わたしのための、パブリックスペース」
「1500万円未満部門」最優秀作品賞の(株)コスモスイニシア「わたしのための、パブリックスペース」は、旧岩崎邸に隣接して、1969年に建設された「湯島ハイタウン」の一室を単身者のクライアントのためリノベーションした事例。土間をキッチンまで伸ばし、下足のままでも人を迎え入れられるようにした。玄関入ってすぐの横には、古材の雪見障子を設え、客間としても、書斎としても使える離れのような空間。ひとりの時間も、誰かとの時間も、心地よく交差する場所をつくっている。また、ミッドセンチュリーを感じさせる赤茶系の木材で、障子、引き戸、縁側、和室など日本式の建具を造作した「ジャパンディ」感などハイセンスな内装も評価された。なお、同作品は同協議会のプロが投票によって選ばれる「プレイヤーズチョイス」も受賞した。
「1500万円以上部門」最優秀作品賞は、リノクラフト(株)「ガリバーを解き放て!」。建築基準法改正による「4号特例」(小規模建築物の建築確認審査省略制度)の見直しに伴って、2階建て木造戸建て住宅でも「大規模の修繕・模様替え」に該当する場合は建築確認が必要になり、複雑な建築基準法令を読みこなし実務で使いこなす能力が、これまで以上に求められるようになる。同作品は国土交通省のガイドラインなどを読み解き、既存の外壁を新たな外装材で覆うカバー工法などを使って、大手住宅会社が建てた築40年近い住宅を爽やかに生まれ変わらせたものである。
「無差別級部門」最優秀作品賞の(株)エンジョイワークス「未踏の集落リノベーション、月見台住宅」は、横須賀市に立地する昭和の市営住宅群。1960年に建設され、2020年にはすべて空き家となったが、不動産投資型クラファンを組成し、総勢367組の投資家が参加。単なる利回り追求の投資ではなく、まちづくりにコミットできる点、投資家自身もDIY参加できる点などを訴求しつつ、ヴィンテージとクリエイティブをコンセプトに、街として再生を図った事例である。

「1500万円以上部門」最優秀作品賞 リノクラフト(株)「ガリバーを解き放て!」

「無差別級部門」最優秀作品賞 (株)エンジョイワークス「未踏の集落リノベーション、月見台住宅」
この他、審査員特別賞として下記の作品が選出された。
■審査員特別賞
◎シングル+1ハウス・リノベーション賞=(株)しわく堂「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」
◎オンリーワンクリエイティブ・リノベーション賞=(株)grooveagent「異彩と異才」
◎サーキュラー賃貸リノベーション賞=(株)アトリウム「賃貸ビジネスにおけるサーキュラーエコノミーへの取り組み」
◎弓の協奏リノベーション賞=(株)シンプルハウス「となりあう囲い」
◎オートクチュール・トランジション賞=G-FLAT(株)「「衣」の美で、「住」の美を仕立てる」
◎未来プレゼンテーション賞=(株)はぴりの「4D設計で実現した「子どもと成長する家」」
◎シングルマキシマム・リノベーション賞=(株)アルフレッシュ「地方空き家、これからのかたち」
◎新スタンダード提案リノベーション賞=(株)NENGO「ふつうの賃貸」
◎今を遊ぶリノベーション賞=(株)smarch「心、躍るいえ。〜退屈を、リノベーションする〜」
◎スマートコストダウン・リノベーション賞=(株)はぴりの「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーム」
◎快適ゾーン断熱リノベーション賞=paak design(株)「「棲み分け断熱」という、暮らし方」
◎ヴィンテージアップデート・リノベーション賞=(株)NENGO「健康な建築」
◎ワークエンゲージメント・リノベーション賞=(株)シンプルハウス「ワークエンゲージメントと採用を変えた工場オフィスの大転換」
◎アップサイクル&アタッチメント・リノベーション賞=(株)リビタ「時をかける部屋 リノベ再販だからこそ愛着が持てる住まいへ」
◎オープンアクティビティ・リノベーション賞=(株)エコラ「センシュアスな街づくり〜こころをうたう〜」
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」詳細
https://www.renovation.or.jp/oftheyear/
リノベーション協議会のホームページ
https://www.renovation.or.jp
インテリアビジネスニュース購読案内
インテリアビジネスニュースは、インテリア専門店動向をはじめとするインテリアビジネスの最前線情報から消費者動向に至るまで、幅広く、深くインテリアビジネスに関する情報を発信しています。
より詳しくインテリア業界を知るための必携の専門新聞です。
IBNewsグループサイト
- インテリアビジネスニュース
- 月2回発行
インテリア業界専門新聞
- カーテン買うならこのお店
- カーテンショップ選びの
総合情報サイト
- カーテントレンドニュース
-
カーテン業界の
トレンド情報等を発信中!



