特集
2012年6月1日配信
インテリア ライフスタイル特集<特別インタビュー>
グローバルに日本の美意識を発信する特別エリア「JAPAN STYLE」
プロデューサー・吉田龍太郎氏 × 渡邊真典氏に聞く
渡邊真典氏(左)と吉田龍太郎氏(右)
若手4名(青木昭夫氏、小柴大樹氏、南村弾氏、本間美紀氏)で構成されるチーム「Creative Direction」(クリエイティブ・ディレクション)によるトータルプロデュースで、会場構成が大きくリニューアルされる「インテリア ライフスタイル2012」。実はその中にあって、「Creative Direction」プロデュースから独立した形で展開される唯一の特別エリアがある。日本の伝統技術や意匠を活かしたデザインプロダクトが集うプレミアムゾーン「JAPAN STYLE(ジャパン・スタイル)」だ。
もともと「JAPAN STYLE」は、2009年にドイツ・フランクフルトにて開催される世界最大の消費財国際見本市「アンビエンテ」にて、日本の優れたプロダクトを世界に向けて発信することを目的に実施してきたプロジェクト。それを今年から「アンビエンテ」だけでなく、「インテリア ライフスタイル」「IFFT/インテリアライフスタイル リビング」、そして中国・上海で開催される「インテリア ライフスタイル・チャイナ」(10月開催)も含めた4見本市で実施することが決定、「JAPAN STYLE」のグローバル展開が本格始動することになったのだ。
「インテリア ライフスタイル」開催を直前に控え、今回の最注目エリアとなる「JAPAN STYLE」について、プロデューサーの吉田龍太郎氏((株)プレステージジャパン/TIME & STYLE)と渡邊真典氏((有)クロスエッジ/YOnoBI)に、企画コンセプトや今後の展開論について語っていただいた。
技術、感性、美意識…、今の日本のライフスタイルを表現した製品が集結
「JAPAN STYLE」ブランドを構築し中国市場へ、そして世界進出へ
――まずは「JAPAN STYLE」のコンセプトをお聞かせ下さい。
渡邊
日本の美意識といいますか、日本のライフスタイルのあり方というのは、世界の人たちに通じるものだと思っています。日本のものづくり、伝統工芸、技術、デザイン、美意識、感性といったものを世界に向けて発信していくということが、「JAPAN STYLE」の基本的なコンセプトになります。
「JAPAN STYLE」はドイツからはじまった企画ですが、当初から主催者側には「インテリア ライフスタイル」と結びつけた展開をしたいという構想を話していました。それがようやく実現した格好です。今回の「インテリア ライフスタイル」では、改めて日本の美意識を「JAPAN STYLE」という形で発信し、さらに中国の方にも見ていただきグローバルにネットワーク化しながら展開していきたいと思っています。
「TIME & STYLE」のデザイン家具
「YOnoBI」は日本の美意識を表現
吉田
「日本の美意識」といっても、伝統工芸そのままではなく、それを現代のライフスタイルに合わせて、デザインや機能を付加し進化させた製品ということになります。そうした方向性に向かった企業が集まって「JAPAN STYLE」というブランドを構築し、1社だけではできないコンテンツをつくりあげることによって、世界に出て行きたいということを最大の目標にしています。
そのためには、今回の出展誘致に当たって「JAPAN STYLE」のコンセプトに合っているのかどうか選別させていただきました。
渡邊
本当に「僭越ながら……」、という感じでしたが、誰かがフィルターを掛けなければこのような展開はできません。世界に出て行くためには、品質や感性の高さなど一定の水準をクリアしている必要性があります。また、そうすることでお互いが高めあっていけるのではないでしょうか。
――初回から厳しく選別されたのでしょうか。
吉田
ご応募はたくさんいただいたのですが、そのような形をとらせていただきました。逆にこちらからお声をかけさせていただいた企業もあります。その意味では、コンセプトはしっかりと表現できていますし、今回出展される30社はぜひご期待いただきたいです。
――具体的に、フィルターをかける条件とは何でしょうか。
吉田
やはり経営者の考え方として、日本をベースにしたものづくり、そして日本の美意識、デザイン、感性などを、伝統工芸そのままではなく、今のライフスタイルに合わせて進化させている企業ということになります。そしてそれを瞬間的ではなく、継続的に取り組んでいることを重視しました。
渡邊
継続性という点が大切なポイントだと思っています。例えば、たまたま助成金や補助金が出たからものづくりをしてみた、ということではなく、それが必要だったという信念です。もちろん助成金があってもいいのですが、それはあくまで「助け」であって、最終的には自立していこうと真剣に取り組む企業と一緒にやっていきたいですね。そうでなければ「JAPAN STYLE」自体も継続していけません。
――次のステップとして「インテリア ライフスタイル・チャイナ」での展開がありますが、どのように進めていくのでしょうか。
吉田
すでに中国側の主催者との話し合いもはじまっていて、スペースの確保もしています。具体的な出展者がどうなるのか、今回の30社が中心になるのか、それも含めて未定ですが、今回は中国の関係者が来日し「JAPAN STYLE」を実際に見てもらいますので、そこから具体的な話を進めていくつもりです。
大切なことは、出展することが目的ではなく、真剣にビジネスをしたいということです。そのためのサポート体制も整えています。現地にはパートナーとして当社の代理店もあり、展示や実際の販売までのサポートを行う予定です。
――中国での取り組みは今後も継続されるのでしょうか。
渡邊
「継続」ということを再三申し上げていますが、海外ビジネスは継続していかないと先方の信頼を得ることはできません。本当にビジネスになったといえる段階まで、この企画を続けていきます。成功するまでやります。
吉田
現在、中国市場で成功しているライフスタイル関連企業はほとんどありません。積極的に出て行く企業もありません。それは成功者がいないからでしょう。中国にあれだけのマーケットがあるのに、出て行かないというのは逆に疑問です。誰かが成功例にならなければいけません。
実は今年の秋口に、中国・上海に「JAPAN STYLE」の常設ショールームを開設する話が進んでいます。ショールームを開設するなどしっかりとした販売体制を整えていく流れの中に、「インテリア ライフスタイル・チャイナ」への出展があるということです。
渡邊
1社ごとにつかめるビジネスチャンスもあれば、数社がまとまることで掴めるビジネスチャンスもあります。1社では難しい中国市場への進出を「JAPAN STYLE」ブランドのもとに20~30社集まったグループで取り組みましょうという考え方です。
とにかく「JAPAN STYLE」ブランドを、ビジネスとして成り立つモデルにしたいと思っています。
吉田
現在、中国側はこの「JAPAN STYLE」の取り組みについて本気になってくれています。常設ショールームも先方のエージェントから提案を受けたものです。
今の中国のスピード感は圧倒的で、進化もすごいものがあります。しかしほとんどは欧米の文化で、もともと中国にあった伝統的なもの、あるいは日本を含めた東洋の美意識みたいなものが完全に失われています。それに対する焦りや失望は大きいのでしょう。
中国人は日本的なものへの憧れもありますし、日本のものづくりの本質についても、同じアジア人として、欧米人よりも理解できると思います。その意味では、日本が戦後から洗練させてきた生活文化、ライフスタイルのあり方は、今の中国にとっても重要なわけです。そういう前提があってアプローチしていただいているのです。
現状は日本からほとんど進出していない状況です。今まったくないのであれば、10年後もまったくないでしょう。だからこそ今やろうということです。ビジネスとして成立すれば、それに追従してくれる企業もでてきます。「JAPAN STYLE」でその先陣を切りたいと思っています。
――ありがとうございました。
■「インテリア ライフスタイル2012」見どころ情報
特集-1 「Creative Direction」プロデュースで会場構成が大幅リニューアル!
特集-2 注目のアトリウム特別企画、テーマは「Feel Good Store」
特集-3 「トレンド」「ビジネス」「エシカル」3テーマによる「lifestyle salon」
■特別インタビュー 日本の美意識を発信する特別エリア「JAPAN STYLE」プロデューサー・吉田龍太郎氏 × 渡邊真典氏に聞く
「インテリア ライフスタイル」公式サイト
http://www.interior-lifestyle.com/
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