特集

2008年2月8日配信

2008年02月08日配信
heimtextil2008トレンドウォッチング--トレンドゾーン編
2008/2009トレンドスローガン 「It’s time to be...(...の時到来)」
-海外情報
フォーラム0のトレンドゾーン
トレンドテーマは
Visionary(先見性)/Original(オリジナル)/Magical(マジカル)/Vibrant(溢れる活気)

ハイムテキスタイルで最も注目を集めるのが「フォーラム0」にて展開されるトレンド展示である。
今年はトレンドセッターが、グナーフランク氏から8名のデザイナーグループに変わったことが大きな特徴で、従来よりも理解しやすく充実しているという評価が多かった。
2008/2009トレンドは「It’s time to be...(...の時到来)」というスローガンのもと、「Visionary(先見性)」、「Original(オリジナル)」、「Magical(マジカル)」、「Vibrant(溢れる活気)」という4つのテーマが設定された。
トレンドのポイントは透明感、明瞭感、そして相反するコンセプトを1つにする、例えばエコロジーとハイテク、ミニマリズムとラグジュアリー、リサイクルと高品質、知性と直感といった本来なら釣り合わないものを組み合わせるという融合性である。こうしたポイントをより分かりやすくするため、各テーマにはシンボルとして建築プロジェクトが用いられている。

トレンドゾーンの詳細レポートは、昨年に引き続き本紙特派員の西垣英樹(ヒデキ)氏、越川洋平氏がお送りする。

×   専門店の立場で見た「ハイムテキスタイル2008」展の傾向を、2人の掛け合い形式で報告する。
西垣英樹氏
(decorators代表)
越川洋平氏
(オーブインターナショナル代表)

トレンドゾーンについて
越川 2008年のテーマは“IT'S TIME TO BE”「その時が来た」というテーマですが、簡単にテーマを要約するとどんな感じでしょうか?
ヒデキ 簡単に言うと、相反するものを組み合わせて、新しいものを創造しようという事が一番大きなテーマなんだろうね。例えばエコロジーとハイテク、ミニマリズムとラグジュアリー、リサイクルとハイクオリティーみたいに、真逆を組み合わせる。
越川 異なるスタイルを組み合わせるのは昨年も出てましたが、今年は極端でしたね。それと昨年は全体的にアートシーンをシンボルとしてましたが、今年は建築シーンで表現されていました。去年と同様に4つのカテゴリーに分類されてトレンドが発表されましたが、それぞれカテゴリー別に見ていきましょう。
ヒデキ
まずは“VISIONARY”。“非現実的”、“空想的”という意味だけど、例えばミニマリズムだったら、以前なら麻の無地が吊ってあったんだけど、メタリックな生地を合わせたり、コンクリートと直線の世界に不均等に切り合わせたミラーを合わせて、氷の世界とも取れる透明感を演出していたね。
越川
カラーとしてはとても簡素。かなりあっさりしたペールトーンを中心にイエローとパープルがアクセントに使われる程度。極端なのはベットルームの展示で、白一色なんだけど、テクスチャーや質感で巧みに表現されてましたね。
ヒデキ
そうそう、離れてみると何でもないんだけど、よく見ると手の込んだハニカムのカットだったりウールがカシミヤだったり、とにかく使われているものが上質。これがミニマリズムとラグジュアリーの相反する組み合わせの表現なんだろうね。
越川
他にも真珠貝のランチョンマットや、真っ白なクロコの型押しなどが象徴的でした。
ヒデキ
次は“ORIGINAL”。「独創的」という意味だけど、例えば田んぼの中のモダンなコンクリート建築。それと質素でナチュラルな部屋に据えられたXXL(特大サイズ)の棚。実験的ともとれる意外な組み合わせが印象的だった。
越川
アフリカの民族的なモチーフの壁紙の部屋に、モダンなバスタブの組み合わせの部屋もありましたが、アレも意外な組み合わせですね。でも壁紙はモノトーンに置き換えられているので、すごく洗練されてました。
ヒデキ
それと有名建築家の椅子に思いがけない生地を張り直して、オリジナルを演出してるんだけれども、裏読みすればエコロジーやリサイクルの新しい提案なんだよね。
越川 ここ数年いろいろな所でエコがテーマになってたけど、今年は単に地球の為だけじゃなく、一つのデザインとして確立された印象を受けました。
ヒデキ
次のカテゴリー、“MAGICAL”。ブリュッセルの分子構造のようなアトリウムに象徴される神秘的なスタイル。ここが唯一のエレガンス系だったね。
越川
そうですね、色もほとんどダークトーンで、メタリックとパープルを組み合わせる感じ。ブースの中で、花火がデジタルプリントされた壁の前に、マルセル・ワンダースの宝石の様なスツールが並べられた部屋が印象的でしたが、あの花火はどういう意味なんですかね?
ヒデキ
華やかさの象徴なんだろうけど、絢爛豪華とは違ってやや控えめなんだよね。未来的デザインにゴールドを合わせたり、スチールの床に新古典主義の家具を置いたり、「絢爛豪華-きらびやかさ=神秘的」という感じかな。
越川
ここでの対比は、グロッシーなテキスタイルにファーやフェザーの組み合わせだったり、ウールとスパンコールの組み合わせだったり、やっぱり神秘的なイメージなんですよね。
ヒデキ このスタイルは去年なら「ミステリアス」なんだけど今年は「マジカル」なんだよね。この違い、伝わるかな?
越川
VIBRANT”は「活気あふれる」という意味だけあって、唯一華やかさがありましたね。
ヒデキ
とにかくカラフル。ビニールあり、蛍光色あり、アニメあり、エスニックあり、タイポグラフィーあり、何でもありのスタイル。インテリアの楽しい部分が凝縮されているよね。でも間違っちゃいけないのは、今年からはチープに見えちゃいけない。
越川
そこ大事ですよね。今年の重要なテーマ。だから蛍光色もモノトーンやナチュラルカラーと上手く組み合わせて使ってますね。
ヒデキ 綺麗な色のカルテル系のプラスチック家具も、ただ置いてるだけじゃダメで、今年はそこに何を合わせるかが大事。
越川 それとソットサスがフューチャーされてましたよね。よく東洋キッチンの広告に出てるサイドボード。
ヒデキ 1980年台を駆け抜けたメンフィスの代表格の彼の前衛的カラフルな家具も、先鋭的技術をもった職人たちとデザイナーのコラボだから、決してチープに見えないもんね。
越川
全体的に、今年は4つのカテゴリーのボーダーラインが曖昧だった印象を受けました。例えば、デジタルプリントやウール素材、メタルなんかはどのカテゴリーにも使われてましたよね。
ヒデキ 以前なら麻はナチュラル、メタルはモダンという風にマテリアルによってイメージを決める傾向にあったのだけど、マテリアルとしてのトレンドがあって、そのマテリアルは使い方や織り方や色によってエレガントにもモダンにも表現できちゃう。
越川
組み合わせ方によっても自在に表現を変えられるので、ボクたちコーディネーターも力量が今まで以上に問われてきますね。
ヒデキ インテリアの美的感覚の転換期だと思うんだよね。過去を振り返るより、未来を創造していかなければいけないんじゃないかな。だから「IT’S TIME TO BE」


企業ブースレポートに続く
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