本紙紙面

2025年8月25日配信

【この人に聞く】
一般社団法人日本内装仕上技能士会連合会 会長 本間健治氏
技能士の社会的地位の向上を模索
技能士同士の活発な交流がカギ

本間健治氏
本間健治氏

 日本内装仕上技能士会連合会(日技連)は、全国の技能士会が連携し、技能士の資質向上と社会的・経済的地位の向上を目指すための情報共有を目的に活動しています。

 約20年間会長を務められた飯島勇前会長から後を引き継ぎ、昨年5月の総会をもって会長職を拝命しました。全国の技能士を代表する立場として身の引き締まる思いです。

 さて、私自身は神奈川県内装仕上技能士会の会長を5年務めています。約60名の技能士が所属していますが、その目的は、やはり技能士の技能向上と社会的地位の向上です。
 技能向上というのは、技能・技術関連の講習会実施や技能グランプリほか競技会への参加などを通じて切磋琢磨することで実現できています。しかしながら社会的地位の向上に関しては、まだまだ道半ばの状況です。

 神奈川県内装仕上技能士会では、職業能力開発協会主催の技能フェスティバルへの参加や小中学校への職業講話の講師派遣、さらには職業訓練校への講師派遣などさまざまな社会的活動を実施しています。小さな子どもたちから小中学生、あるいは就職を控えて訓練を行う人たちに、内装職人という仕事の魅力を伝え続けていますが、実際に職人を目指してくれる若者は多くありません。他県の技能士会もおそらく同様の課題を抱えているはずです。理由はさまざまだと思いますが、やはり技能士という仕事の社会的地位が高くないというのが最大の原因ではないでしょうか。

 私たちが若い頃は、お金が稼げればどれだけ辛くとも頑張れましたが、今の若者はお金を稼ぐことよりも職場環境や休日の多さを優先します。例えば、この夏の猛暑の中、新築現場では空調設備もなしに長袖とヘルメット着用で作業しなくてはなりません。このような環境に若い人が入って来てくれるとは思えません。これは建設業界全体で技能士に対する処遇を見直し、社会的地位を高めることをしなければ解決しない問題です。

 その一方で、現在は全国の技能士会同士の交流が今まで以上に活発になっており、それぞれの活動が全国規模で広がっていますが、そうした技能士全体を巻き込んだ一体感が社会的地位の向上につながるのではないかという期待感もあります。

 例えば、東京の技能士会が「ものづくり・匠の技の祭典」に参加すれば他県から応援に駆けつける、埼玉で「内装材にかかわるものに触れる研修会」を行えば同様に全国から技能士が集まってくる。特に驚いたのが昨年10月に大阪の技能士会が開催した「工具・副資材体験会」でした。全国から800名を超える技能士が集結し、大いに盛り上がりました。

 このベースにあるのはSNSの活用です。若い技能士たちがSNSで積極的に情報を発信し、また技能士同士がSNSでつながることでイベントに多くの参加者が集まることになりました。こうした盛り上がりは、やがて一般の方々にも伝わっていくはずです。
 日技連としても全国の技能士会との交流をさらに強化するため、コロナ禍以降中止となっていた各県持ち回りの出張理事会を、10月に熱海で行う予定です。理事だけでなく会員も自由に参加できる形にして、技能士同士の連携をさらに強めていきたいと考えています。
 こうした活動を地道に続け、技能士の社会的地位向上を実現していく所存です。(談)

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