本紙紙面

2024年1月11日配信

【業界トップに聞く】
アスワン株式会社 取締役社長 深江崇紘 氏

深江社長
深江社長

 インテリア専門店、内装工事店、家具店といった地域密着型の事業者を主な顧客として事業展開するアスワン(株)。とりわけ有力販売店で組織するアスワンIAG(アスワン・インテリアアドバイザー・グループ)は、同社の事業基盤として、他メーカーにはない強い存在感を業界全体に示している。

 その三代目社長として、2022年4月1日付けにて就任したのが深江崇紘氏である。就任して約1年9カ月、深江崇紘新社長にアスワンの今後の方向性を伺った。

 

時代に合わせて会社を変容させる
変えないのはインテリア専門店とともに歩むこと

 ――三代目社長としての抱負、これからの方針などをお聞かせください。

 深江 当社は先々代が、今から77年前の1947年、広島で内装工事業として創業した会社です。内装工事業からやがて問屋業、さらにブランドメーカー業と、業態を拡大・変容させながら現在に至っています。

 内装工事業からはじまっていることから、より暮らしに近いところ、すなわち現場の施工対応力や販売企画力など、お客様に対して一歩踏み込んだサービスを提供してきたことが当社の特徴だと認識しています。

 そして、もう一つの特徴が、変わってきたということです。先ほど述べた通り、人々の暮らしの変化、得意先のニーズの変化に合わせて会社の業態を拡大・変容させてきました。時代が変化しているにも関わらず同じことを続けていては、会社は立ち行かなくなります。先代、先々代が実行してきたように、これからも時代の変化に合わせて、変わっていかなくてはならないと思っています。

 その一方で、受け継ぐこと、変えてはいけないことがあります。当社は、歴史的にインテリア専門店の方々とともに歩んできました。育てていただいと言っても過言ではありません。この部分、つまりこれからもインテリア専門店とともに歩んでいくという方向性は変えずに行きたいと思っています。何か新しい施策をする場合、それはインテリア専門店にとって有益かどうか、といった視点を持ちながら、ただしインテリア専門店の皆様に甘えるだけでなく、少しでもお返しできるように、さまざまな施策を実行していきたいと思っています。

 ――インテリア市場の現況についてお聞かせください。

 深江 コロナ禍もほぼ収束した中で日本経済も平常に戻っていくであろうと言われていましたが、住宅市場については厳しい状況が続いています。住宅需要の低迷をはじめ、物価高などによって消費マインド自体が鈍化している状況かと思います。

 一方、非住宅市場は地域や物件の種別によってバラつきはありますが、全体的に見れば回復の兆しが見えてきたかと感じています。ただし、いわゆる2024年問題や慢性的な後継者・技能者不足といった諸課題を抱えており、今後どのように取り組んでいくべきかを考えなくてはなりません。

 また住宅市場が厳しいという状況下で、いかにして前売り業態を活性化できるかも大きな課題だと捉えています。

 冒頭でも申し上げましたが、当社はインテリア専門店の皆様とともに歩んできました。その当時より、インテリア専門店から一般消費者の方へ「アスワン」というブランドをご紹介いただき、それによって販売・拡大へとつなげていただいてきました。そういった中で何か当社としてもできないかと、非常に微々たる例ですが、現在SNSでの情報発信に力をいれています。商品紹介だけでなくアスワンの歴史や考え方などを中心に、それらの投稿には必ず「詳しくはお近くのインテリア専門店へ」という文言とともに、「#インテリア専門店」や「#インテリア専門店を元気にする」といったタグを入れています。

 アスワンを知ってもらうと同時に、そこからインテリア専門店への来店につなげていく。暮らしのこと、室内空間のことを相談できる場所が近所にある。この認知・認識が広まれば、前売り業態だけに限らず、長い目で見ても工事業態にも好影響が出てくるのではないかと感じています。SNS活用は一つの事例ですが、こうした施策を行うことで、インテリア専門店・業界全体の活性化を進めていきたいと考えています。

 ――商品政策をお聞かせください。

 深江 昨年8月にオーダーカーテンの基幹見本帳「オーセンスedit.10」を発刊しました。引き続き柄・デザインをメインにしながらも、最近の住宅デザインのトレンドに合わせてモダンテイストを強化し対応力を高めたことで、上々の滑り出しをすることができました。また当社が行っている椅子張り生地事業のつながりで多くの国内家具メーカーに協力いただいたことで、これまでアスワンを知らなかった消費者の方からの認知向上も広がっています。

 また2022年にはカーペット見本帳「Wall to Wall edit.1」を発刊しました。あらためて敷き込みのオーダーカーペット文化を広げたいという思いとともに、物をただ右から左へ販売・納品するのではなく、現場施工という技術・強みを持つインテリア専門店にこそ、メインに取り扱って欲しいという思いで発刊したものです。こちらも、ここに来て伸びている状況です。

 ――営業政策についてはどうでしょうか。

 深江 あらためて営業担当者をはじめとした、社員全体のサービス提供の質向上をしていきたいと考えています。

 当社はインテリア専門店の方々と深い関係を築くことで、選んでいただいてきた経緯がありますが、そこに甘え続けてきてしまったのではないかと感じています。もちろん当社社員は限られた人数であるにもかかわらず、すでに精いっぱい頑張ってくれています。ただそこを、もう一歩踏み込めないか、ということです。

 インテリア専門店の皆様が本当に求めていることを共有させていただき、それにしっかり応えていくという、利害だけでつながるのではなく、真の意味でのパートナーになっていくということが、いまの時代だからこそ必要ではないかと考えています。

 その上で、時代の変化、ニーズの変化を捉えて、当社とインテリア専門店の方々が一緒になって、変化していくということが理想です。

 ――最後にインテリア業界に対して一言お願いします。

 深江 企業ですので自社利益を追求する、ということは至極当然のことだと思います。ただ、これまでのように限られたパイを奪い合う、我慢比べのような商売を続けていけば、日本のインテリア市場そして日本のインテリア文化はシュリンクしていくしかありません。似たようなものや価格競争ではなく、各社が独自の商品・サービス開発に挑戦する。失敗することもあるかもしれませんが、そういった取り組みを続け、それぞれの強みが明確になり高め合うことで、インテリア業界全体が盛り上がっていくのが理想ではないかと思います。このような志を持ちながら、インテリアの良さを一般ユーザーはじめ、この業界に入りたいと思う若手が増えるように伝えていく。当社はそうした、業界に関わる人にとっていい循環を生む、インテリア・内装の会社を目指していきます。

 ――ありがとうございました。(聞き手・善明剛史)

アスワンのホームページ
https://www.aswan.co.jp

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