本紙紙面
4.STAY HOMEからENJOY HOMEへ
この突発的で強制的なステイホーム月間は、自宅の居心地についてこれまでいかに自分が無関心だったかを、多くの人びとに気づかせるきっかけになっていると思われる。連休中、ホームセンターが連日大盛況だそうだ。この現象をマスコミは気の緩みとして報道するものの、それだけ多くの人々が家のことを考え始めた兆しではないだろうか。家庭菜園にせよ、ウッドデッキの補修にせよ、収納家具の買い増しにせよ、瓢箪から駒ではないが、ステイホームからエンジョイホームである。もしそうならば、日本の住生活の幸福にとっては望ましい兆候である。
調査では日本でも、部屋の模様替え、インテリアのコーディネイト、DIY、絵や観葉植物、アロマやキャンドルなどなど、インテリアに関する行動が、住まいの幸福度を高める効果があることが重回帰分析の結果から分かっているのである。賃貸住宅に暮らす人や分譲住宅や中古住宅を買う人にとっては、建築は既に存在している。完全オーダーメイドの注文建築でも竣工後には建築は与件となる。一般的な住まい手が自分で住空間に主体的に関わることができるのは、主にインテリアと呼ばれる領域である。だから住まいの幸福にとってインテリアが重要なのだ。
まとめると、このコロナ禍の惨状の中にいくらかでもポジティブな面を探すとすれば、家の重要性が見直されるきっかけになるのではないか、ということである。ステイホームが住生活の改善にどのように影響を与えるのか、プロセスを少し想像してみよう。
最初は、狭い専有面積になんとかワークスペースを確保するところから始まる。ビデオ会議の背景に映る室内のカメラ映えも気になる。時間もあることだし断捨離や大胆な片付けをしよう。そうすることで空間の秩序が整えられる。空間の秩序が整うと、間接照明や観葉植物で空間を演出することの効果に気がつき、家具やインテリアのコーディネイトを意識するようになる。
そのような住空間への関心の高まりの中から、模様替えをしたり、壁紙を替えたり収納棚を増設したり、DIYのニーズも高まってくる。DIYは、単に部屋の使い勝手を良くするだけではなく、空間による自己実現につながる行動だ。
次に引っ越しをするときには、住まいの探し方や選び方が変わってくるだろう。天秤の片方に住宅コストを載せ、もう片方に通勤時間と駅徒歩距離と築年数を載せ、スペックのバランスにばかりに腐心していた家探しに、心地いい・気持ちいい・楽しい、といった感覚的で主観的な価値が加わる。
立地や建物ハードのスペックには相場があるが、心地よさの感覚には一般化できるインジケーターも相場もないので、他人と優劣を比べて一喜一憂することはない。自分なりに生活空間を良くすることを楽しむことが出来れば、それが住生活の幸福度を高めることに直結する。
もちろん、いくらこの感染症の影響が甚大だからといっても、コロナ禍が収束したらいきなりこのような価値観が出来上がっているわけではない。いま私たちが経験している実験とも言える社会モードが常態化するならば、大きな方向感として、このような潮流が生まれるのではないか、という希望的観測である。
(以下次号)
ステイホームで気づく住まいの幸福とインテリアの可能性 後編
http://online.ibnewsnet.com/news/file_n/hn2020/hn200610-04.html
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