「MADE51」
難民は1960万人(約130カ国)に達する
難民の自立支援を行う
世界各国のデザインアイテムが集結する「インテリアライフスタイル」であるが、今年は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が立ち上げた「難民に持続可能なビジネスチャンスと生活を提供すること」を目指したプロジェクト「MADE51」が日本初登場する点が大いに注目である。
「難民」については、日本では意識する機会も少ないが、世界ではとても大きな問題となっている。難民とは、自分の国では人種や宗教、政治、武力紛争、人権侵害などさまざまな理由から迫害を受ける恐れがあるため、他国に居住する人々のことを指す。
その数は膨大で、2017年時点で1960万人(約130カ国)に達している。さらに国境を越えていない、実質的な難民も含めると、何と6850万人にのぼるという。また難民生活の期間も長く、平均して15年〜25年ほどとなっており、2世代、3世代にわたるケースも少ないくない。
こうした難民に対して、世界各国からさまざまな支援の手が差し伸べられている。その支援は、まさに今生きるための食料や住居の提供といった支援が一般的であるが、前述の通り、避難生活は長期間にわたることから、単に物資を支援するだけでなく、人間としての尊厳をいかにもってもらうか、という点も重要になってくる。
そのための支援が自立支援である。
難民の多くは、自国で培ってきた伝統工芸技術を有している。その技術を活かしてものづくりに活用し、グローバルな視点から製品を供給していくことができれば、収入を得ることも可能となる。自分がつくったものが、誰かに受け入れられ、それが収入になることで、人間としての尊厳を取り戻るきっかけにもなってくる。
その自立支援策として、2016年にUNHCRが発足したブランドが「MADE51」だ。技術をもった難民とグローバルマーケットをつなぐことをコンセプトに、デザイン開発や販売チャネル開発などを展開、今年2月には、世界最大の消費財見本市「アンビエンテ」に「MADE51」ブランドとして初出展し、ヨーロッパ市場に大きなインパクトを与えた。
その「MADE51」が、今年の「インテリアライフスタイル」に登場するというわけだ。
会場では「難民がつくった」モノではなく、「顧客が欲しい」モノにこだわった、本物のデザインアイテムが展開される。単なるインテリア小物という捉え方ではなく、1つひとつのアイテムに難民それぞれのストーリーがつまった、付加価値の高い製品として注目である。
なお会期2日目の7月18日(木)10時30分より、UNHCRのハイディ・クリスト氏によるトークショーも開催される。
「アンビエンテ」でのブース
「MADE51」製品一例
「MADE51」のような取り組みがもっと必要です。誰も難民になりたくないし、援助を受けたくない。彼らも尊厳のある生活を送りたいのです。だから私はこれが最初の一歩であることを願っています。
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