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特集

2016年4月11日
【連載】Interian Color――日本の伝統を見直す
(社) 日本カラリスト協会 渡部尚子氏


清水寺は大渋滞

 2月、3月、4月と協会が主催するセミナーのために、大阪へ出張しました。新大阪駅を降りて、エスカレーターに乗る瞬間、大阪に来た!と実感します。大阪では、エスカレーターを立ち止まって乗る人は右に並び、歩く人は左側を使います。東京は止まる人は左です。大阪に近い名古屋、京都、それから岡山や広島なども、すべて止まる人は左です。ではなぜ大阪だけ右に立つのか?大阪在住の友人に聞きましたが、「わからない」とのこと。一説には、1970年に万国博覧会が大阪で開催された際、国際標準の交通ルールを参考にしたとか。また多くの日本人は右利きなので、手すりをつかむのも右手の人が多いから、という話もあります。いずれにしても長い間、その乗り方は習慣として、受け継がれてきています。もっとも、エスカレーターは本来、立ち止まって利用するもので、歩くのは危険と言われていますので、お気をつけくださいね。

 さて、大阪でのエスカレーターの乗り方が国際標準かどうかはさておき、最近多くの外国人が観光目的で日本を訪れていると、ニュースなどで取り上げられています。「インバウンド」という言葉もよく聞きます。東京や京都などの有名な観光地では、外国人を見ない日はないとか。中にはSNSの影響で、肝心の日本人が知らないような場所が観光名所になっていることもあるようです。4月の桜の季節、ある日の上野公園では、花見客の約6割が外国人だったとか。

 3月に京都へ行った際、清水寺への参拝を思いつき、向かったのですが、その光景は目を見張るものがありました。きもの姿の人が多いこと。もともと、きものレンタル店があることは知ってしていましたが、ここまできもの姿の人を見たのは初めてでした。多くの若い女性のグループや、男女のカップルなどが色とりどりのきものを着て、草履を履いて、清水寺までの坂を登っていきます。京都、という場所が「日本の伝統」というべきところですから、若い人たちもそのような気分になるということでしょうか。そして、そのきもの姿の人の中には外国人も多く見られます。中国、韓国、インドネシアなどのアジア諸国、アメリカやヨーロッパなど、さまざまな国の人々が日本の伝統、きものを着て歩いているその光景は、噂には聞いていたものの、かなりの衝撃でした。慣れないきもので歩くのが大変そうな様子や、中には帯がほどけてしまって、大変なことになっている男性も。でも、皆さんとても嬉しそうに歩いている姿が印象的でした。

 先日発表された2020年の東京オリンピックのエンブレム候補に、日本の伝統色である藍を使ったものがあります。きものを始めとして、日本の伝統文化は少しずつ、自分たちの生活から離れてしまっているように感じますが、ここまで外国の人々に日本という国、日本の伝統が受け入れられていることは、日本人として素直に喜ぶべきことだと感じました。自分たちももう一度日本を見直す、いい機会なのだと思います。
 ただし、この日はあまりのカルチャーショックで、清水寺の参拝を断念し、そのまま坂を降りて、東京へ戻ってきてしまいました。

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