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特集

2015年3月11日
【連載】Interian Color――さくらを待ち望んで
(社)日本パーソナルカラリスト協会 渡部尚子氏


このシダレ桜はピンクです

 「三寒四温」とはよく言ったもので、風が冷たくて震えるような日があるかと思えば、ポカポカと暖かい日もある今日この頃。でも確実に春は近づいてきています。春といえば桜、を連想される方も多いのではないでしょうか。今年の開花予想はいまのところ、平年並みか少し早く咲くところもあるとのことですが、さて桜の便りが聞かれるのはまだもう少し先のようです。

 日本の伝統色に「さくら色」があります。桜の花の色のような、明るいピンク色です。これは街路樹として植えられている、一般的なソメイヨシノの花色ではなくて、奈良県・吉野山などで見られるヤマザクラの花色のようです。そういえばソメイヨシノは蕾の頃はピンクですが、開花すると淡いピンクから白に近い色ですね。でも、私たちはなぜか、ソメイヨシノの花を見てもピンク色と見えてしまいます。この不思議な色の力は『記憶色』といって、身の回りにあるよく認識している物の色を、実際に目の前にある色を見ているのにもかかわらず、記憶しているとおりに見えてしまう、というものです。これは実際の色よりも、より明るく鮮やかに記憶されていることが多く、つまりは桜の花色は明るいピンク色と記憶している人が多い、ということです。

 インテリアデザインに携わられている方々にとっては、カーテンの色や壁紙の色、床材、カーペットなどを扱われていらっしゃると思いますが、生地見本などの小さい面積で見たときと、実際に施工して大きな面積で見た時と、印象が違ってしまったという経験をお持ちなのではないでしょうか。この不思議な色の力は『面積効果』といいます。見本の小さい面積で明るい色を見た時は、大きい面積では一層明るく鮮やかな印象になります。また逆に小さい面積で暗い色を見た時は、大きい面積ではより暗く、色みも弱くなった印象になります。かつて私の友人は初めての一人暮らしの際、優しいピンクのカーテンを選びましたが、実際に部屋にかけてみるとかなり色が強く、ショッキングピンクに近い印象で、しばらくそのままかけていましたが、だんだんと目が疲れるようになってきてしまったので、新たに白に近いピンクのカーテンを掛け直した、というエピソードがありました。「かわいい部屋」にしたつもりが、落ち着かない部屋になってしまったこと、ただでさえ物入りなのに散財してしまったこと、せっかくの門出にケチをつけられた形になった、とぼやいておりました。もっとも本人自身が誰に相談することもなく選んだカーテンでしたので、誰に文句も言えなかったようです。後日、私がその部屋を訪れたときは、すでに新しいカーテンでしたが、クローゼットでクロス代わりに使っていた元カーテンは、「前もって相談してくれたらよかったのに」と思えるほど、鮮やかなものでした。

 あとひと月もすれば、お花見のシーズン。桜を愛でるという平安時代からの風習よりも、桜の花色よりも目立つ青いビニールシートが、どうしても気になってしかたがありません。

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