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特集

2014年7月7日
【連載】Interian Color――当たり前の色
(社)日本パーソナルカラリスト協会 渡部尚子氏


フェルメールの名作もこうなると「かわいい」?

東京近郊だけなのでしょうか、数年前からJRの車両に黒い吊り革が採用されています。最初にその車輌に乗ったとき、ものすごい圧迫感を感じました。頭の上に濃い色があると、何か物が落ちてきたような、そんな危機感をも感じます。なぜ、このような色にしたのでしょうか。これには諸説あるようですが、「通勤車両として、車内空間が引き締まる効果を狙った」「整然と並んでいるイメージを呼び起こす」「すぐに吊り革をつかめるように目立たせた」「汚れを目立たなくさせた」「使われる素材(材料)の都合により」など。黒というのは「高級感・モダン・威厳」というイメージのほかに、「硬い・重い・暗い・閉鎖的」というマイナスのイメージがありますので、私にとってはこの電車の吊り革はマイナスのイメージが先にたってしまった、ということなのでしょう。

商品を数多く売るため、またアイテム数を増やすために、最近では色でのバリエーションが増えています。いわゆる「色違い」のこと。もちろん「個性の時代」ですので、自分の好きな、自分に合った商品を選びたい、という消費者の気持ちの表れから、ということも大きな要因ですが、たとえばインテリアの場合、置く場所に合った色、というコンセプトでカラーバリエーションを展開しているものもあるようです。もちろん、ソファーやテーブルなど、家具をはじめとして、消火器も置く場所に合った色を選ぶようです。
吊り革は白、消火器は赤、という当たり前の色、当たり前のイメージが、生活習慣、個人の好み、社会の風潮、そしてさまざまな理由により、変化してきています。そもそもイメージというのは人それぞれで、先ほどの吊り革の黒も、私のように重いと思ってしまう人もいれば、モダンな車内と感じる人もいるでしょう。100人が100人とも同じイメージを持つということは、まれなことだと思います。色のイメージ、というのも「多くの人がそう感じている」ということに過ぎませんが、とはいえお客様にお勧めするときに、「この色にはどのようなイメージを、多くの人が感じている」という情報をお伝えすることは、お客様にとってはプラスになりますし、購買につながるのではないかと思います。また作る側にたった場合は、そのイメージを基に制作すると、その制作意図が伝わりやすくなります。なにより、私たちにとっては仕事の面でも、個人的に購買者としても「カラーバリエーション」は大歓迎です。

最近、「かわいい」という言葉が、多くの意味を持っていることに驚きます。もちろん「かわいい」というイメージは人それぞれ違うとは思うのですが、その範囲が実に広くなりました。昔は年配の方に「かわいい」などと言うことは大変失礼なことでしたが、今では「かわいいおじいちゃん」は全国いたるところにいらっしゃいます。気持ち悪くてもかわいい「キモかわいい」、ブサイクでかわいい「ブサかわいい」と言う言葉も生まれました。なにかにくめないところがある、ということでしょうか。私にはまったく感じられなかったのですが、先日ある飲食店で運ばれてきたハンバーガーを見て「かわいい!」と言った女の子には感心してしまいました。

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