前回4月25日号(「カーペットは“無実”です」)で紹介した西宮市の「ダニアレルギー調査報告」によると、ダニアレルギーの症状は布団などの寝具から舞い上がるダニアレルゲンを吸い込んでしまうことが大きく関係しています。
つまり、基本的なアレルギー対策は、医師やマスコミがよく言う「カーペットを取り除く」ことではなく、最大のダニ供給源である寝具の適切な管理(清潔に保つ)となります。
そして、もう一つ重要なのが、良質な空気環境の形成=ダニアレルゲンを含むハウスダストを室内に舞い上がらせないことでしょう。
ここで出番となるのが、カーペットです。カーペットには、ホコリなどのハウスダストを取り込む特性(ダストポケット効果)があり、パイル繊維の内部にハウスダストは取り込まれます。
「カーペットを敷くことによって空中浮遊菌数が減少」(「カーペット床の防菌防ばいに関する研究」大阪市立大学教授・弓削治氏など、1984年)し、室内の空気環境の改善につながるのです。
また、大阪府立公衆衛生研究所(現大阪健康安全基盤研究所)が過去に実施した調査では、「カーペット床面から1.8メートルに設置した空気清浄機には十分長期にわたる使用にもかかわらず、ダニ虫体およびダニ抗原はほとんど見出せなかった。また、床面20センチの高さで捕集したダニ抗原はほとんど見出せなかった」とされています。
ドイツのアレルギー関連研究機関でも「室内の細かいほこりの量は、床一面にカーペットを敷くことによって劇的に減少する」(「ALLERGIE konkret」2005年)ことが証明され、「床に何も敷いていないむき出しの場合、空気中に浮遊する細かい粒子が増える危険性が増し、床一面にカーペットを敷いている場合、この危険性を最小にすることができる」としています。
また、当組合においては2015年、「カーペットのハウスダスト舞い上がり抑制効果」について科学的に検証。カーペットとフローリングでハウスダストの舞い上がり量(歩行を想定)を比較した結果、カーペットでのハウスダスト舞い上がり量はフローリングのわずか10分の1であることが分かりました(大阪府立産業技術総合研究所=現大阪産業技術研究所で実験実施)。
カーペットはダニアレルギー対策に役立つ床材であるとご理解いただけたでしょうか。冊子「新訂カーペットはすばらしい」の巻頭や本文でも詳しく紹介していますので、是非ご覧下さい。
ダニ問題は長年にわたり当業界を苦しめているものです。しかし、ここ10年ほどの取り組み(実証実験やマスコミへの働きかけなど)により、カーペットへの理解は広がりつつあります。
さらに現在、当連載1回目でも触れたように、ダニアレルギーとカーペットが関連づけられる根拠の一つにもなっている日本小児アレルギー学会発行の喘息管理ガイドラインの改訂に向けた取り組み(「カーペットは敷かない」の文言削除要求)も展開中です。
カーペットが正しく理解されるよう、これからも愚直にカーペットのすばらしさを訴えて参ります。(日本カーペット工業組合事務局)
【お知らせ】
冊子「新訂カーペットはすばらしい」はこのほど、発行から2年が経過いたしました。
今後、さらに多くの方にご覧いただけるように、4月からPDFファイルで公開しています。
当組合ホームページにアクセスしてください。
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