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2022年1月12日
【シリーズ この人に聞く】日本内装材連合会 理事長 笠井市造氏
今の値上げ局面は大きなチャンス
業界の在り方を根本から見直すべき


笠井市造 氏

 昨年の後半からメーカー各社より壁紙、床材、カーテンなどあらゆる製品価格の値上げが行われています。原材料価格の高騰は依然として続いており、今後も段階的に値上げは続いていくものと考えています。

 メーカーだけでなく、最前線で販売・施工される専門店、内装工事店の方々、我々卸業も含めて非常に厳しい状況におかれていますが、業界団体を代表する立場から捉えれば、この値上げ局面はインテリア業界の在り方を根本から考え直す最後のチャンスになると思っています。

 例えば、牛丼の価格が300円という世の中が本当に幸せなのでしょうか。300円で販売するためには畜産農家の仕入れ価格を抑える、物流費を削る、加工業者のコストを削る、そして店舗運営費を抑制するといった具合にあらゆるコストを削らなければなりません。それはそこに携わる人たちの人件費をギリギリまで抑えることにつながっていきます。

 牛丼に限らず日本社会全体がこのような状態に陥っています。昨夏の東京オリンピック開会式ではドローン編隊が話題となりましたが、すでに中国では5年前からもっと大規模なドローンのショーを行っていました。人件費を削って安価にモノを提供するという安易な考え方を続けてきたことで、日本が得意としてきた先端技術すらもアジア各国に遅れをとっているわけです。低価格路線からの脱却は国益に資することになるのです。

 今のインテリア業界もまったく同じ状態にあります。製品価格のみならず施工費は抑制され、それによって技能士不足に陥っています。高齢化も進み後継者もいないとなれば、今後どうやって製品を納めていけばいいのでしょうか。
 このような状態から転換するためにも、今の状況は大きなきっかけになるのではないかと考えています。

 そもそも今回の値上げは、コロナ禍の需要調整という一時的なものではありません。もっと根本的に、モノの価値、そしてヒトの価値そのものを見直していこうという世界的な流れなのです。だとすれば値上げ要請を受け入れない、取引先へ価格交渉をしないなどの一時しのぎでやり過ごすことはできません。やるべきことは、自社の商売のコスト構造を見直し、人件費をしっかりと確保できるようなビジネスモデルに再構築し、その上で取引先へ交渉することではないでしょうか。

 もちろん内装工事店にとっては、住宅メーカーやゼネコンへの交渉は簡単なものではありません。現場の担当者は目先のコストが重要ですから容易には受け入れてくれません。しかし建設業界のトップの方々は、今の専門工事業の在り方の危うさに気付き是正を模索しています。ですから、こちら側が覚悟を持って対応していけば、理解が得られるはずです。もし我々がそれをしなければ、他の専門工事業のコスト構造が改善されたのに、インテリア業界だけが置き去りになるという危険性すらあります。

 またメーカー側も、単に販売価格を上げるのではなく、例えば壁紙の「1000」のような上代価格が記載された商品名は改めるべきです。この古い販売手法が壁紙の価値向上を妨げているのです。

 いずれにしても、今回の値上げを内装工事業、メーカーともに今までの考え方を大きく転換し、よりよいインテリア業界に再構築するチャンスにしなければなりません。(談)

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