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2013年11月18日
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」総合グランプリはブルースタジオ


「FURNITURE 半身浴」

リノベーション住宅推進協議会(内山博文会長)は、2013年を代表する魅力的なリノベーション事例を選ぶコンテスト「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2013」の受賞企業をこのほど決定、総合グランプリの「FURNITURE 半身浴」((株)ブルースタジオ)をはじめ、予算別の部門別最優秀賞および特別賞を下記の通り発表した。

「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2013」は、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性にフォーカスし、消費者にとって最も関心が高い項目のひとつである施工費で分類し、日本全国からエントリーされた151作品の中から、5種類の価格帯別(300万円未満、500万円未満、800万円未満、800万円以上、無差別級)にノミネート作品を選出。ノミネート作品選考には、SNSを活用し一般ユーザーの声を取り入れ、最終選考は住宅系媒体編集者からなる選考委員が審査を行い、総合グランプリ、部門別最優秀賞6点、特別賞8点を決定し、「リノベーションEXPO JAPAN2013」イベント内で発表・表彰を行った。

【受賞作品一覧】
総合グランプリ・800万円以上部門最優秀作品賞=「FURNITURE半身浴」(株)ブルースタジオ
300万円未満部門最優秀作品賞=「再びリノベーション~こどもべやができた夏~」(株)錬
500万円未満部門最優秀作品賞=「ウナギノオウチ」=(株)インテリックス住宅販売
800万円未満部門最優秀作品賞=「畳のロフト、窓のあるお風呂など、一人仕様を極めたワンルーム」(株)練
無差別級部門最優秀作品賞(2点)=「大正時代の京町家をシェアハウスへとリノベーション」(株)八清/「築40年プレハブアパート再生 [さくらアパートメント]」(株)ブルースタジオ

【特別賞】
R1住宅特別賞(2点)=「自然素材に囲まれた味わい深いワンルーム」(株)アート&マテリアル/「ユカMANIA」(株)サジェスト nuリノベーション
再販リノベーション特別賞(2点)=「練馬石神井台の家」(株)リビタ/「美味しい食パンHOUSE 『あなた仕上げで創る家』」(株)コスモスイニシア
クール・ジャパン賞=「一棟貸し宿泊施設に生まれ変わった洛中の京町家」(株)八清
パブリック賞=「空のリビング」(株)アポロ計画リノベエステイト事業部
最大「いいね!」獲得賞=「ヘリンボーンに貼ることで床がリズムを刻み…」9(株)
エンターテイメント賞=「走る。リノベる。」バスツアー」リノベる(株)


受賞者たち

なお、今回第1回目の開催となった「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2013」については、選考委員長の島原万丈氏(リノベーション住宅推進協議会プロモーション委員会委員長)が下記の講評を発表しているので、参考までに全文を掲載する。

【全体講評】
選考委員長
島原万丈/リノベーション住宅推進協議会プロモーション委員会委員長
既存ストックの活用・流通活性化の重要性が叫ばれて久しい。国の住宅行政も精力的に既存住宅市場の環境整備に乗り出している。-住宅購入とリフォームの一体化ローン・瑕疵保険・インスペクションガイドライン等々、昨年の「中古住宅・リフォームトータルプラン」以降の矢継ぎ早の施策には目を見張るものがある。

しかしながら、既存住宅市場の「負」を解消することに主眼があるこれら公的な推進は、ストック型社会の実現に向けての必要条件ではあっても十分条件ではない。
既存住宅の活用に不安や不利益がないことは無論必要である。それと同時に、あるいはそれ以上に、既存住宅という選択肢自体が広く住まい手にとって魅力的なものでなければならないと考えている。例えば、自分らしさ・自由さ・創造性・美しさ・心地よさ・愛着のような、数字だけでは計ることが出来ない人間的な価値観が反映された住まいが、リーズナブルに手に入らなければならない。それを可能にするのが、リノベーションである。

リノベーション住宅推進協議会にとって初の試みになるコンテスト、リノベーション・オブ・ザ・イヤーは、徹底的にユーザー目線のコンテストである。
エントリーは価格帯別にクラスを分け、ノミネート作品の選出にはエントリーページの閲覧数やSNS等での反響を取り入れ、最終的に受賞作品を選ぶ選考委員は、建築家や不動産事業者ではなく、住宅系メディアの編集に携わるジャーナリストで編成した。これらはすべて、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性をより多くの人に伝えたいという当コンテストの趣旨を徹底させた建て付けであった。

初めてづくしの企画に主催者側としては不安もあった。しかし、蓋を開けてみれば151のエントリー作品群はいずれ劣らぬ力作揃いで、コンテスト全体としての質の高さは誰の目にも明らかであったと思う。ノミネート作品まで絞り込まれると、どれが受賞しても大きな異論は出そうにないほど、それぞれがそれぞれ独自のアプローチでリノベーションの楽しさ・魅力・可能性を雄弁に語っていた。数点の画像と添えられたテキストから、それぞれの作品が、施主の要望と既存建物や予算などの制約条件をいかに乗り越えてきたかを読み解いていく選考会は、楽しくもあり難しい作業だった。

その中でオブ・ザ・イヤーを勝ち取ったブルースタジオの「FURNITURE半身浴」は、棚やテーブル・造作家具類の高さをすべて70cmに揃え、「見えない水面のようなもの」を作り出すことで空間の拡がりを演出するというアイデアである。新築であれリノベーションであれ、マンションの空間プランニングは平面図を中心に考えられる。ところがこの作品は、生活動線を司る通常の平面図に加えてもう1枚、視線の平面図を描くことで創りだされた空間である。マンション専有部を平面ではなく立体として捉えることではじめて可能になるアイデアだろう。その他、安達委員の講評にもあるように、この作品は、着眼点の創造性から実際の空間づくりへの説得力ある帰結を「伝える力」にも優れていた。この分野の先駆者として同社およびリノベーションの力を存分にみせつけた、記念すべき第1回のオブ・ザ・イヤーにふさわしい作品であったと思う。

我々日本人が「真に豊かな」住生活を実現するためには、既存ストックを何世代にもわたって活用することが当たり前の住宅市場を作らねばならない。先進国としては異常なまでに新築に偏向したこの国で既存住宅それ自体の魅力を高めるためには、リノベーションをごくごく平均的な生活者の間にもっともっと浸透させていく必要がある。
世界的にみれば幸いなことと言えるが、日本ではほとんど全ての国民は誰でも住宅に住んでいる。リノベーション住宅推進協議会では、将来的にはリノベーション・オブ・ザ・イヤーを国民的な関心を集める一大イベントに育てて行きたいと考えている。

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