本紙紙面

2026年9月10日配信

【プロダクトナウ】新建材「INNO PANEL」 サンゲツ
職人不足に「商品と施工方法」で挑む
技術のすみ分けで職人の価値向上にも寄与

「INNO PANEL」仕上がりイメージ
「INNO PANEL」仕上がりイメージ

 深刻化する技能者の高齢化と人手不足、さらには時間外労働の上限規制による時間的制約が大きな課題となっている建設・内装業界。そうした課題に対応する新しい建材として、(株)サンゲツ(近藤康正社長)が今年2月に発売した「INNO PANEL(イノパネル)」が注目を集めている。

 「INNO PANEL」は、(株)サンゲツ、吉野石膏(株)(須藤永作社長)、フジプレアム(株)(松本倫長社長)の3社の技術を結集し生まれた、石膏ボードと壁紙を一体化した壁装パネルである。その開発背景と商品の特徴、今後の展望について、(株)サンゲツ イノベーション戦略室マーケティング統括課の五味川健治課長に聞いた。

「INNO PANEL」
「INNO PANEL」

 職人さんが減り続けているという懸念は十年以上前から言われ続けていることですが、インテリア・内装業界としてなかなか有効な打ち手がないのが実情です。当社に職人育成機関のような施設をつくって欲しいというご期待の声もいただきますが、業界全体の課題を根本から見直すには、従来の枠組みを超えた新しいアプローチが不可欠だと感じていました。

 ある試算では、2035年に約130万人の職人が不足するというデータがありますが、当社の推計でも、10年後に壁紙職人が約1万人減少するという数値が出ています。これは年間約1億2000万㎡の壁紙が貼れなくなることを意味します。壁紙職人がいなければ、新築、リフォーム、コントラクト関連すべての現場において表装仕上げができないということになります。まさに危機的状況です。

 職人の担い手を確保し育成していくことは容易ではありません。それならば、商品と施工方法で解決できないか、というところから生まれたのが「INNO PANEL」です。

 もう1つ、「INNO PANEL」の開発において重要な考え方が、選択肢を増やしたいということです。効率化が見込める案件や壁面は「INNO PANEL」に任せていただき、納まりの難しい現場に貴重な職人の技術で施工いただく。それによって職人の技術の価値が高まるものと考えています。「INNO PANEL」の発売当初から、職人の仕事を奪う商品という捉え方も一部でありますが、決してそのようなことではなく、逆に職人の価値を高める商品であることをご理解いただきたいです。

施工イメージ
施工イメージ

「スーパーマグチャック」で圧着
「スーパーマグチャック」で圧着

五味川健治氏
五味川健治氏

 それでは、「INNO PANEL」とはどのような商品かということですが、構造はとても単純で、壁紙を石膏ボードの正面と両側面の途中まで、工場での機械貼りによる壁紙と石膏ボードの一体型パネルです。素材と素材を貼り合わせることに長けたフジプレアム(株)の技術により実現しました。工場で貼り合わせるため、現場施工を削減します。

 表面の壁紙は、壁紙見本帳「FAITH」収録の不燃認定の汚れ防止壁紙(8柄57アイテム)をラインナップしています。また厚みは12.5ミリ厚(不燃)、9.5ミリ厚(準不燃)の2
 タイプ、サイズは3×6版、3×8版、3×9版、さらに12.5ミリ厚には3×10版も用意しています。

 その特徴ですが、まず1つは「工期短縮」です。工場で石膏ボードと壁紙を貼り合わせるため、現場でのパテ処理が不要で、パテの乾燥時間も不要になります。またパネル自体の設置は吉野石膏(株)の「スマートJG工法」を参考施工方法として採用しています。これは両面テープのようなアクリル100%の固形接着剤を、軽量鉄骨(LGS)に貼り、そこに「INNO  PANEL」を設置し、「スーパーマグチャック」という強力な磁石で圧着していくというものです。テープ止めで強度が心配という声もありますが、ビス止めの2倍以上の強度があります。これにより、100㎡あたり約180分の施工時間短縮を実現しました。熟練工に頼らざるを得ない業界特性において、コツを掴めばボード系の職人だけでなく、壁紙や床、設備系の職人でも施工可能です。

 2つ目が「静音施工」です。「スマートJG工法」はビス止めが不要のため、とても静かに作業が可能で、騒音への配慮が不可欠な施設や日中の改修にも最適です。夜間工事や土日工事といった職人の負担軽減にもつながります。

 そして3つ目が「美観維持」です。パネル同士の間に隙間を設ける「目透かし施工」により、クラックを防ぐ効果が期待できます。また仕上がりに目地が入るという問題もありますが、デザイン性の高い目地製品を活用することで、目地を含めて壁面をデザイン化することも可能です。今後は意匠性の高い目地材の開発も検討しています。

 この他、「INNO PANEL」の壁紙部分だけを剥がして、壁紙の貼り替えにも対応しています。

 現在は軽量鉄骨が条件となっていますが、木造などにも広げていけるように研究を継続しています。

 「INNO PANEL」の名前の由来は、業界に革新を起こすという意味の「INNOVATION(革新)」と「IN NO TIME(あっという間)」という意味を掛け合わせたものです。「INNO PANEL」で、職人不足の緩和とともに、職人の地位向上と次世代への技術継承に寄与していきたいと考えています。



サンゲツのホームページ
https://www.sangetsu.co.jp

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インテリアビジネスニュース9月10日号発行