本紙紙面

2026年9月10日配信

【この人に聞く】
ネリー・ロディー・エージェンシー セシル・ローゼンストラウチ氏
2027年のトレンドテーマは「BREATHE UP!」
人間の知性、自然とのつながり、再生がキーワード



 2027年に向けて、私たちが掲げたキーワードが「BREATHE UP!」です。私たちは今、不確実でさまざまな要求にさらされる世界に生きています。だからこそ、新しい「呼吸」が必要です。新鮮なエネルギーを取り入れ、ネガティブなものを解き放ち、身体と心のバランスを取り戻す。そこから未来の暮らしを考えていこうというメッセージです。

 その背景にある潮流の1つが「人間の知性」です。AIが急速に進化し、機械が多くのことをできるようになった今だからこそ、人間の手仕事やクラフトマンシップの価値が再び高まっています。本当のラグジュアリーとは高価な素材だけではありません。それを形づくる職人の技術や手の動き、そこに費やされた時間や感情にも価値があります。
  

 2つ目が「新しい世代の都市」です。気候変動によって、暮らし方、働き方、消費や移動の仕方も変化しています。これからの建築やデザインには、自然と調和し、地域の文化を生かしながら、よりレジリエント(回復力がある)な環境をつくることが求められます。当然、インテリアや素材にも、よりスマートで革新的、そして人間に寄り添うことが求められるでしょう。

 3つ目が「オルタナティブ・コンポジション」です。限りある資源と過剰消費への問題意識から、新しいものをつくり続けるのではなく、「修理する」「再利用する」「再発明する」という動きが広がっています。デジタルやAIだけがモダニティではありません。ものを修理し、既存のものから新しい価値を生み出すことも非常に現代的な行為なのです。

 こうした社会潮流を背景に、2027年トレンドとして「REDECORATE」「RECONNECT」「RE-USE」という3つの方向性が浮上しています。

「RE-DECORATE」
「RE-DECORATE」

「RE-CONNECT」
「RE-CONNECT」

「RE-USE」
「RE-USE」

 「RE-DECORATE」は、装飾する喜びを取り戻すトレンドです。これまでの控えめなミニマリズムから、もっと温かく、明るく、装飾的で、個性を表現する方向へと動いていきます。色や柄、テクスチャーを自由にミックスし、住空間を自己表現の舞台にするのです。高価な素材だけではなく、素朴な素材も職人の手仕事や組み合わせによって、新しいラグジュアリーへと変えることができます。

 「RE-CONNECT」は、人と自然、テクノロジーをもう一度つなぎ直すという考え方です。住まいには安心感やウェルビーイング、さらにはセラピーのような役割が求められます。スマートホームなどのテクノロジーと天然素材やサステナブルなファブリックを共存させる。クラフトとデジタルは対立するものではありません。両者が調和した、穏やかで心地よい住空間をつくっていきます。

 そして「RE-USE」は、再生することから新しい美を生み出すトレンドです。減らす、修理する、再利用する、再生する、アップサイクルする。廃材や回収した素材を別の用途へ転換し、その不規則な表情や偶然生まれた色さえも個性として生かします。均質なものではなく、1つひとつ異なるものに価値を見いだすのです。

 2027年に求められているのは、単に新しい色や柄、スタイルではありません。新しいつくり方、素材との向き合い方、そして新しい暮らし方そのものです。「BREATHEUP!」というテーマのもと、人間らしさを取り戻し、自然やテクノロジーとの関係を見直し、既存のものから新しい価値を生み出す。それが2027年のインテリアを考える大きな方向性になるでしょう。

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インテリアビジネスニュース9月10日号発行