特集

本紙紙面

2024年6月11日配信

【この人に聞く】ENEGGO株式会社 代表取締役 下 浩史氏
卵の殻でできたエコ壁紙「caracara wall」登場
廃棄される卵殻を資源として有効利用



 オンラインIBNでも掲載いただきましたが、当社では卵の殻を約25%配合(塩化ビニル樹脂重量比)したエコ壁紙「caracara wall(カラカラウォール)」(3アイテム)を今年5月に新発売しました。

 日本人は1年間に約330個の卵を食べるというデータがあります。卵の殻は1個当たり約5グラムですから、年間では1人で1.6キロの卵の殻を廃棄していることになります。卵の殻の約94%は炭酸カルシウムです。この殻を捨てるのではなく、資源として活用することが持続可能な未来につながるものと信じています。エコ壁紙「caracara wall」はそうした思いから誕生しました。

 もともと当社は、グループ全体で卵の殻を回収・リサイクルする専門会社として200年より事業展開してきました。卵の殻は食品工場などから毎日のように大量に発生します。産業廃棄物であるため莫大な費用をかけて廃棄しなければならず、仮にそのまま放置すると、特に夏場などは臭いがでてしまうため早めに乾燥処理する必要があります。そうした課題を抱える多くの食品工場と連携し、卵の殻を当社が回収しリサクルしています。その量は年間6000トン、将来的には20,000トンのリサイクルを目指しています。

 さて、卵の殻のリサイクルには2種類の方法あります。一つは殻に付着した薄膜も含めてそのままリサイクルする方法、もう一つが殻と薄膜を分離して、殻と薄膜それぞれをリサイクル方法です。

 薄膜が付いたままリサイクルする場合は、細かく粉砕し肥料やグラウンドのライン材、ロジンバック、チョークなどになります。

 次に殻と膜を分離してリサイクルする場合ですが、膜については植物の成長に欠かせない18種類のアミノ酸を含むタンパク質で構成されているため高品質な液体肥料となります。ただし、膜は水に溶けない性質があり分離は難しいのですが、当社では独自の特許技術により加水分解に成功、アミノ酸の抽出を実現し世界初の卵殻膜由来・全18種のアミノ酸を含む液体肥料として製品化しました。

 一方、薄膜を分離して殻のみとなった部分はプロダクト製品にリサイクルします。

 現在、当社では殻を活用したプロダクト製品開発を積極的に進めており、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂と混合して日用品や菓子トレイなどさまざまな樹脂製品を開発しています。

 今回新発売した壁紙もその一つで、塩化ビニルに約25%の卵殻を混合し壁紙を製造します。塩化ビニルに卵殻を混ぜ込むため、卵の殻が持つ機能性は発揮されませんが、石油由来の原料の代わりに本来廃棄される卵の殻を使用することで、地球環境保護に資する壁紙になるものと自負しています。

 なお開発に当たっては壁紙メーカーと協業して進めてきましたから、物性、施工性は一般的な塩ビ壁紙とまったく同じで、防カビ、抗菌、F☆☆☆☆、準不燃認定もクリアしています。デザイン的にも表面に卵の殻が表出することなく、一般的な壁紙と見分けがつきません。価格も一般的な壁紙と同等となっています。

 今後は、独自ブランド「caracara wall」として、内装問屋を通じて全国の内装工事業者に販売していきます。

 卵の殻からできた「caracara wall」を、環境対応壁紙としてご活用いただければと思います。(談)

ENEGGOのホームページ
https://eneggo.com

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