本紙紙面

2024年1月27日配信

【この人に聞く】新潟工科専門学校 木戸久美子先生

木戸久美子先生(右)、佐藤仁子さん(中央)、 佐藤万咲さん(左)
木戸久美子先生(右)、佐藤仁子さん(中央)、 佐藤万咲さん(左)

 学校法人国際総合学園新潟工科専門学校(NIT)では、昨年開催された(一社)日本インテリア協会主催の「インテリアデザインコンペティション2023」において、同校1年生の佐藤仁子さんによる「さちや 神社を受験生のための勉強スペースへ」と、同じく佐藤万咲さんの「MUSUHINO GASA空き倉庫から結傘の下で繋がるワークスペースへ」が優秀賞に選ばれた。他にも奨励賞6名、審査員特別賞2名、入選7名が同校の在学生より選ばれた。インテリア業界のコンペティションで、同時に多数入賞するのは今回で5年連続の快挙である。

 そこで今回は、新潟工科専門学校インテリアデザイン科の木戸久美子先生に、優秀な人材を育成する指導についてお聞きした。

 

「インテリアデザインコンペティション」で
優秀賞はじめ5年連続で最多入賞者を輩出

 新潟工科専門学校は、建築・インテリア・大工・測量・電気の専門分野に特化した学校です。インテリアデザイン科では、住空間や商空間を魅力的にコーディネートできるインテリアアドバイザーを目指す学生を育成しています。学生たちはインテリアと建築の双方にわたる幅広い知識を身につけることができ、豊富な実習を通じて専門的な技術や実践経験を積むことができます。また、在学中にはインテリアコーディネーターや色彩検定などの実務に直結する資格取得にも力を入れ、卒業時には1・2級建築士の受験資格が付与されます。

 インテリアに関する知識と実践力の両方を兼ね備え、建築インテリア業界でプロフェッショナルに活躍することを目指しています。カリキュラムでは、実務で活かせる技術やコーディネート力、そしてインテリアの知識習得に注力していますが、同時に、デザインコンペにも積極的に参加しています。

 日本インテリア協会主催の「JAPANTEXインテリアデザインコンペ」や(公社)インテリア産業協会が主催する「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」などです。こうしたコンペがなければ、将来ICを目指す学生たちにとって、自分のアイデアを発表できる場がないわけです。特に、コロナ禍でも継続的に開催していただけたことに感謝しています。

 学生たちへの指導については、特別なテクニックがあるわけでなく「インテリアの力で暮らしを心地良いものへ変えていく」を持続して来ただけです。私自身これまで、住まいに関する生活者が抱える悩みや不満に注目し、その解決に向けてさまざまな工夫をしてきました。そうした細かな気づきを、学生たちへ伝えられないかと、常々考えつつ指導をしております。

 コンペ課題を通じ、学生たちが暮らしを快適に心地良くする方法を学び、実践できるようになることが、私の目標です。作品の具体的な内容においては非日常的でなく、身近な問題に焦点を当てることを大切にしています。具体的には、環境問題、高齢化、子育てなど、身近な課題を解決するために、インテリアの力を活用し、皆が協力してより快適になるようなアイデアについて一緒に考えています。

 私の指導スタイルは、具体的な答えを提供するのではなく、彼らが自ら問題に取り組み、アイデアを広げていくことを促すことです。問題の本質を把握し、それを解決するためのアイデアを自分たちで見つけ、工夫することが大切だと考えています。

 デザインには理由が不可欠です。なぜその色なのか、その形なのか。色や形の選択に伝統や文化、そしてコンセプトを取り入れることで、デザインに意味や背景を与えるよう学生たちに伝えています。これらは彼らが将来、プロとして活躍する際にも重要なスキルとなります。

 また、1年生で全国コンペに参加することで、学生たちは自分のアイデアが社会でどのように評価されるかを実感し、自信をつけることができます。社会人やプロとの競争を通じて、自身のデザインスキルや発想力が認められる喜びを味わうことで、モチベーションが向上していると感じます。

 「JAPANTEX インテリアデザインコンペ」において、二桁の入賞が続いているのは、個々が孤立して課題に取り組むのではなく、同級生や先輩たちと協力し合い、刺激し合いながらチームで課題に取り組む伝統が根付いているからだと思います。入賞経験者の先輩たちは、後輩たちに対してアドバイスを惜しまない姿勢があります。過去の入賞作品が学内に飾られ、常に目標と憧れを感じながら学べる環境が整っています。


 JAPANTEXの見学では、学生たちが名刺を作り、商品や業界のトレンドについて、企業の方々と直接対話できる機会を作りました。どの企業の方々も、とても丁寧に説明してくださり、社会で活躍されている先輩方との交流は、学生たちにとって非常に有意義な経験であり、将来の仕事に対するイメージを具体的に持つ手助けとなったようです。

 このような企業と学生が関わる機会を多くつくる事が、継続的なインテリア業界の発展にも大きな影響があるのではと考えます。学生が様々なプロジェクトに参加し、そのアイデアが企業に受け入れられることは素晴らしいことです。今後、コンペやプロジェクトへの参加を通じて産学連携が一層広がり、学生たちが実践的な経験を積む場が増えることを期待しています。

 Z世代は多様性を当たり前に受け入れてきた世代です。異なる視点や経験を尊重し、豊かな多様性をデザインに取り入れ、優しさや、相手の立場に立った「思いやりのデザイン」を生み出す力を持っています。デザインが単なる美的な要素とどまらず、社会的な課題に対して新しい視点や解決策となるよう、学生たちが自らのアイデアを追求できる環境をつくることが重要であると思います。彼らのデザインが人々の生活にポジティブな変化をもたらすことを期待しています。

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