特集

本紙紙面

2022年12月27日配信

【この人に聞く】ソレイユ カラー&インテリアデザイン主宰
インテリアコーディネーター 飯塚奈津子氏
「エコプロ2022」インテリア産業協会のブースにおいて
高校生の『循環する和紙と空間』のアイデアをリアル空間化

飯塚奈津子氏
飯塚奈津子氏

 12月7〜9日、東京ビッグサイトで開催されました環境総合展「エコプロ2022(第24回)」の(公社)インテリア産業協会のブースにおいて、今年度「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト高校生部門」の優秀賞作品である八幡小凜さん(静岡県立浜松高等学校3年)の『循環する和紙と空間』のアイデアを、リアルな空間として具現化する、展示製作を担当させていただきました。

 また、展示ブース内では、循環という趣旨に沿って、展示の製作時に出た和紙の廃材を使用した、キャンドルスタンド作成のワークショップも好評でした。

 今回、私は「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト高校生部門」の審査員も務めましたが、八幡さんの作品は、和紙の循環・再生により空間も循環させ、季節の移ろいを表現しているところが面白いと思っておりました。ちょうど、環境総合展「エコプロ」の趣旨とも合うため、空間化することが決まり、設営するのを楽しみにしていました。

 私たちICも、普段は和紙を使うことに敷居の高さを感じています。和紙の壁紙を施工すれば、どうしてもそれなりの予算が必要となりますし。

 しかし、今回のように、部分的にパネルとして使うことで、もっと気軽に取り入れ、色の組み合わせなど、多様な楽しみ方ができますね。

 今回はあまり時間がない中で、全国の様々な和紙を検索して取り寄せてみましたが、メーカーに在庫がないケースもあって、その点は少し大変でした。ただ、地元である山梨県の和紙産地・市川大門で、伝統的な和紙の新しい可能性を追求している、大直が手がける「ナオロン」を使った「SIWA/紙和」も一部採用しました。

 これは、デザイナーの深澤直人氏とのコラボによる和紙ベースの新素材で、破れにくく、重量があるパソコン用のバッグなどもあるそうです。今回の企画を通じて、和紙について勉強させていただきました。

 さて、コンテストの応募者は、高校生とはいえ、建築系・インテリアデザイン系で専門の勉強をしている学生さんが多く、全体にクオリティが高くて、プレゼン資料の作り方も上手でした。

 ちなみに、あくまで審査の対象は「発想」を審査です。今回CGパースでの応募もありました。CGパースが悪いわけではありませんが、ソフトウェアである程度のものはできてしまい、テクニック論になってしまいがちな点が気になります。コンテストでは、発想を大事にしたいので、この先、検討を要するかもしれません。

 工業高校では今後、VRやARの授業にも力を入れていかれるようですので、今回のような企画も、近い将来には、メタバースなど仮想空間で表現していくようになるのかもしれませんね。
 しかし、どの資料も発想が豊かで、手描きのイメージスケッチや色使いが楽しく、審査していて、私も楽しかったです。

 八幡さんの原案は夏のイメージでしたが、空間化するに当たって季節感を若干調整しました。

 また、原案そのままではなく、全体的に落ち着いたトーンの配色とし、格子パネルのカラフルな色使いでもノスタルジックな雰囲気になったかと思います。

 ご本人も、指導された先生、親御さんと一緒に見に来てくれ、喜んでいたとお聞きしました。どんな感想を持たれるか心配でしたが、ほっとしました。今回の取り組みが将来につながっていくのだと思いますが、「将来インテリアコーディネーターになりたい」って思ってもらえたら私もうれしいですね。

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