特集

2010年2月23日配信

2010年2月23日配信
heimtextil2010トレンドウォッチング--トレンドゾーン編
テーマ 「ユニ(リ)バース」(世界を再生させる)
-海外情報
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西垣英樹氏
(decorators代表)
越川洋平氏
(オーブインターナショナル代表)

トレンドゾーンについて
越川
今年のテーマ「UNI“RE”VERSE」、ユニバース(全世界)を再生させるという意味の造語ですが、これがまたなかなか奥が深いんですよね。
ヒデキ ここ数年崩してきた価値観や固定概念を今度は再構築して再定義する段階にきたんだね。インターネットのおかげでグローバル化が急速に進んで、ドメスティックな固定概念や常識だけでは通用しなくなった。ミックスカルチャーが重要なキーワードになっています。
越川 セオリーを崩しながら新しいものを生み出すので、結局はもっと気軽に楽観的にいろいろな物を組み合わせていく事がクリエイティブだ、ということなんですよね。
ヒデキ そう、楽しむが肝心!
越川
今年は4つのカテゴリーに分けてトレンドが発表されていましたが、先ずは「futuRustic」。エコが前面に出た展示ですが、そこにはしっかり「新しいラグジュアリーとはこういうものだ!」という思想が込められていて、質素な素材だけどスペシャルな技術で表現して、ラグジュアリーなエコロジーが定義されています。
ヒデキ
未来的なものと素朴さの対比、ハンドワークや動植物系の素材の持つやさしさ、子供の頃に描いたような絵のもつ温かさ、何か一本のラインのつながりがストーリー性や温かみを生み、素朴が過剰消費の現在に対するアンチテーゼとして表現されていました。ラグジュアリーはより実用的なものへ変化し、ヌーボシック(新しい上質)が提案されてたね
越川
染色してない素材その物をベースに、テクニックで上質感が表現されていて、さらに当然のように自然の素材は劣化していくけど、それも“味”として楽しんでしまう。今までのエレガントに疲れたところに、ちょっと“抜いた”感じのこの表現が、新しい形の贅沢なんですね。
ヒデキ
レザーや麻は実は耐久性にすぐれてて、高価だけど実はコストパフォーマンスが高いんだよね。自然の物ゆえにある“不均一性”や素材が“生きてきた証”としての傷や癖をもストーリーとして面白みとしてとらまえていく事が大切。こういう新しいデザイン概念こそが、日常生活における責任ある消費を可能にするんだよな~。
越川 近年まれに見るポジティブな変化ですよね!
続いては「Temptation」。誘惑というタイトル通り、いろいろなテクニックで“魅惑的”を表現していました。
ヒデキ
古典的なデザインが、デジタルで伸ばし曲げられ、くっつけられて、全く新しいデザインへと変化し、リユースされてたね。
越川 古典に現代技術をプラスする思想は今までもあったけど、表面的なものだけでなく、より根本的にデザインそのものを現代技術で自由に作り変えて、魅惑的に見せる。さらにそれを積極的に受け入れて自由に遊んじゃおう、という感じで、もうそこまでしないと誘惑されなくなっちゃっているんですね。
ヒデキ 公私同様、リアルとバーチャルとの間もうやむやにボカされ、トラディショナルとケミカルが融合し、「いかにも」というわざとらしいミックス感が4つのカテゴリーの中で一番近い未来を表している。
越川
錆などの素材の劣化も受け入れて新旧の概念も取り払わなければならないのは、ここでも同じですね。さらにトラディショナルなヨーロピアンカラーにアンバー色組み合わせられていて、これがキーカラーになりそうです。
ヒデキ
さらにそれを魅惑的に見せるには赤やマスタード、ターコイズなども大切だし、エナメルのようなツルンとしたサーフェスにうねやヒダを形どった生地を合わせたり、ビックダマスクをフロントカットで毛羽立たせたり、デジタルで小紋模様を引き伸ばしてジオメタリック風に変えちゃったり、ネオな古典がテーマです。
越川
展示の中で、クラシカルなランプが現代風にアレンジされて、無造作に束ねられて吊られているところ、カッコよかったですね。
ヒデキ 古典プラス現代、これならヒデキにも簡単にテンプテーションできる!
越川
続いては「hypernature」。クリアーな透明感がテーマになっていますね。
ヒデキ 概念的には「意識しない存在感」、皆疲れているんだよ、癒されたいんだよ、人も地球も。
越川
ペットボトルや水でリサイクルや空気の浄化などを表現していたけど、結局リフレッシュできる心地よさが大切なんですね、人も地球も。
ヒデキ
生地的には涼しげなレーザーカット、スーパーオーガンジー、ラメやフィルムを使ったもの、キラキラしたサーフェス、光があたった水面や空気な感じ。テクニック的にはレイヤーだね。
越川 レイヤーは、重ね方で明るさを調節できるし、薄くて軽やかであってもボリューム感も表現できる、さらに幻想的な透明感までも表現できちゃうし、便利なテクニックですよね。
ヒデキ ここは薄いので重ねて行きたいね。軽すぎると思ったら、色を入れていってもいいかも。でもやっぱり薄くいくのが上手に見えるこつ。
越川 続いては「INTUITION」。直感に頼って気軽にデコレーションして、簡単に新しいスタイルを作っていくことがテーマになっています。
ヒデキ 世界が不況になって何でもアリになって、神頼みして、最後に直感に頼る。でもその直感は実用的じゃないとダメなんだよね。ソットサスの“カールトン”のように、斜めの方が本が置きやすかったり。
越川 実用性を追求しすぎるとつまらなくなっちゃうけど、そこは直感に頼った意外な組み合わせや、強い色や柄同士の思い切った組み合わせなんかで、楽しさもしっかり忘れないことが大事なんですよね。
ヒデキ
生地のイメージはジオメタリック、大げさな編みこみチェック、凹凸デコボコ、エナメル、なんでもアリなんだけど、でも本当に大事なのはあらゆる組み合わせを“試す”という事なんだよ。新しいスタイルを作らなきゃいけない。
越川
ブースの展示で、電気スタンドや旅行カバン、自転車なんかが積み重ねられていたけど、まさにどこにでもあるものを適当に重ねただけ。飾りとして成立した上で機能的、簡単な上にどこにも無いオリジナル。極端だけどすごく象徴的な感じがしました。

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