特集

2008年2月21日配信

2009年02月21日配信
heimtextil2009トレンドウォッチング--企業ブース編
次代のトレンドとなる究極のミスマッチを探せ!
-海外情報
×   専門店の立場で見た「ハイムテキスタイル2009」展の傾向を、2人の掛け合い形式で報告する。
西垣英樹氏
(decorators代表)
越川洋平氏
(オーブインターナショナル代表)

企業ゾーンについて
越川 今年のハイムテキスタイルは、全体的に去年と大きく変わらない印象だったけど、どう思います?
ヒデキ そうだな~、一言で言うと“不況”だな~。トルコの出展者なんか、50社くらいドタキャンしたみたいだし。
越川 あるフロアーでは会場の半分近くが、壁を隔てて空きスペースになってたり、去年まで出ていた企業が今年は出ていなかったり。
ヒデキ ハイムとメゾンに出ていた企業がメゾンだけになったり、両方やめたり。やっぱり不況なんだね。
越川 そうですね。商品を見ても、開発費もなかなかかけられないんだろうけど、そうなるとどうしても目新しい物が減ってきちゃいますよね。まるでハリウッド映画みたいですよ~、リメイクばっかりで(笑)。
ヒデキ 去年との違いを見つけるならば、ネガティブな部分だけど、印象的だったのがシルクとクリスタルが激減。去年あれほどまでにシルクとスワロフスキーなんかがついた生地が多かったのに、やっぱり不況なのかな?
越川
そうですね、シルクが減った代わりに麻が目立ちましたね。それと、カラーは去年までと同じだけどパープルが目立ちましたね。それと新しく増えたのがローズ系。ベースにブラキッシュカラーも相変わらず使われていて、そこにアクセント、というパターンが多かったですね。
ヒデキ パープルやモノトーンに相性がいいイエローもトレンドカラーに欠かせない色として上手に飾られているところがちらほら目についたね。それと、ペールトーンのグリーン、これも大事な気がするよなぁ。
越川
特に今年は全体的に落ち着いた色合いが多く、モノトーンも目につきましたね。よく不況になるとモノトーンが多くなる、と言われているけど、それを意識せざるを得ない印象でした。
ヒデキ デザイン的には、ビックパターンやダマスク、幾何学模様なんかが目についたけど、特に花柄がその数を増し、全体的にはモダンから明らかにエレガンス思考に世の中が動いている気がしたなぁ。
越川
ボクはビックパターンが印象的でした。ショーだからアイキャッチが必要なんだろうけど、特に今年は増えたし、より柄が大きくなっている。
ヒデキ
規則正しく連続的なプリーツを取った生地やキルト加工をした生地、部分的に収縮度合いを変えたシワ加工でデザインされたレースなんかも印象に残ったなぁ。
越川 それと、大きな目のアミアミのレース、レーザーカットやバーンアウトなんかで透かし系のテクニックを使った薄地も、去年もあったけどさらに増えましたね。
ヒデキ エスニックパターンも多かったよね。特にオリエンタルとアフリカン。アフリカンは洋平好きだよな~。
越川 好き好き、何か最近気になってたんですよね~、イカットとか。特にモダンに上手く合わされているディスプレイなんかを見るとグッときちゃう。
ヒデキ どれも去年より洗練されていて、エスニックを使う時の参考になったね。
越川 何か気になったブースやディスプレイ、ありました?
ヒデキ
アルハンブラで衝立にダマスクが張られていて、何でもないクラシック柄なんだけどこれが大きなパターンサイズでナチュラルな色調で、フランス鋲で張られていて、これが不思議と新鮮に見えるんだよね。ついたてって言うのもいいんだよなぁ~
越川
ボクは毎年気になっている“モッドアパート”。大きいパープルのサークル柄レースもいいし、レーザーカットのテクニックもかっこいい。いつもトレンド性が高く、でもオリジナリティーもあって素敵なんです。今年は場所が良い所に移ってより目立ってましたね。
ヒデキ
サイズのあるアールデコパターンのレース、これなんかをモダンラグジュアリーと組み合わせて使っていくと、“タイムトラベラー”っぽくなるんじゃないかな。
越川 そうですね、そこにカラーのファーやフェザー、スパンなんかを合わせるとカッコいいですよね。
ヒデキ ここ2、3年流行ると言われながら、使いにくくて実際にはあまり使われなかったかったアールデコが、使いやすくなるよね。
越川
それとボクはこのディスプレイ、クラシックなフォルムにモダンなカラーの組み合わせの典型として、凄く印象的でした。ピンストライプの使い方も絶妙。
ヒデキ
デザインのリノベーションの一貫として、切り替えし(胴つぎ)が良く展示されていたんだけど、“柄どうし”というのが掟破りで新しい感じだったなぁ。
越川 そうですね~、今あるデザインを甦らせる事がわりと簡単にできるので、ボクたちにも参考になりますよね。
ヒデキ
それから、スッキリとしたゲルマン系の生地を得意としているADOがエスニックなビックパターンの織物にも驚いて、時代の変化を感じたなぁ。
越川 去年のモダンなインクジェットのプリントから大きく変わりましたね。エスニックなんだけどADOらしくモダンにアレンジされていて、ボクは好きですね。
ヒデキ
相変わらずNEED'K(日恵装飾)の注目度は高く、どうやって織っているんだろうか、と思うほどのテクニカルで表情の豊かな生地が並んでいたね。オリジナルな物作りにこだわり続けた積み重ねが、気がつけばトレンドをリードする弾クンのトレンドセッターという形に表れたんだろうな。やっぱりこれは凄いと思う。
越川 毎年言ってるけど、「ガンバレ日本!」ですね。それから今年は韓国企業のクオリティが上がって、手頃な価格も相まって、今後の注目株です。
ヒデキ 長年ヨーロッパのトップブランドのOEM生産をしていた企業なんかが、長年培ったテクニックやクオリティで自社ブランドを立ち上げてきて、目をみはるものがあるよなぁ。デザインや組み合わせもルールにとらわれずに自由度が高くて面白い。
越川 出展社の減少、全体的に変化が少なかった今年のハイムテキスタイルですが、個々に見ていくと、少しずつでもやっぱり変化はしているようですね。
ヒデキ こういう時代になると、メーカーにもネガティブになる所も出てくるよね。でもこういう時だからこそ、新しいものが生まれてくるのかもしれません。ボクたちコーディネートに携わる者こそ、究極のミスマッチを見つけ出さなくてはならないのでしょう。必要なのは、ひらめきとちょっとした勇気。全く新しい商品を作るために、あなたは錬金術を使いますか?タイムマシーンにでも乗りますか?それとも魔法でもかけちゃいますか?

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