本紙紙面

2023年9月27日配信

【この人に聞く】
(一社)日本流行色協会 クリエイティブディレクター 大澤かほる氏
JAFCA設立70年記念イベント開催
生成AI元年にウェルビーイングを問う

大澤かほる 氏
大澤かほる 氏

 (一社)日本流行色協会(JAFCA)は、昭和28年(1953年)に設立されて以来、組織の形を変えながらも、おかげさまで今年70周年を迎えることができました。そこでJAFCAでは、「感性価値が描く未来」をテーマに、70周年記念セミナーを、さる9月1日に、リアルとオンラインのハイブリッド形式にて開催しました。

 これは、2023年が「生成AI元年」とされ、生活に人工知能が深く関わり始め、ますますウェルビーイングが重視されるようになることから、今後の市場に向けた色彩と質感の表現について、過去からの知見を紹介するとともに、ツルツル、ザラザラなど曖昧なオノマトペから感性価値を定量化する、最新のAIデータ分析の手法や、新しい色彩表現の可能性など、様々な視点からのアプローチにより探ったものです。

 これからの仕事を大きく変える可能性がある、最もホットなテーマであるだけに、会場やオンラインの参加者から活発な質問が寄せられました。ちなみに、1953年というと、テレビ放送が開始されたのと同時期に当たり、50年代に太陽族が登場、続いて60年代から、様々な若者文化が華開く時代です。

 設立当初のJAFCAには、戦後の繊維産業の隆盛を背景に、色彩関連の権威が結集。古い『流行色』のバックナンバーを見ると、誌面上でトレンドとはどうあるべきかなど、喧々諤々の議論を繰り広げていて、日本の新しい文化を作るのだとか、欧米並みの優れたモノを作って、世界へ打って出ようとか、大変な熱量を感じることができます。

 なお、インターカラーが設立されたのが、JAFCA設立の10年後。インターカラーも今年60周年で、日本は発起国の一つでした。
 この当時は情報がなく、企業がそれぞれ欧米の市場を視察して流行を研究していましたが、協会に情報を集約して関連する業界へ再分配していくことが設立の一つの狙いだったと思います。

 それがいまや、インターネットを通じて、誰でも情報にアクセスして、思うままに発信できる時代です。ネット上には、トレンドと称する情報が溢れ返っており、隔世の感どころではない変化が起こっています。
 生成AIの登場もそうした変化の一つと言えますが、今回そこに敢えてウェルビーイングをぶつけた理由は、それがAIに理解できない概念だからです。

 ある学者が指摘していましたが、意識で捉えられるものはなんでもAIで解決できるかもしれないが、言葉にならない、感覚的な分野にAIは適応できないだろうということです。
 心身ともに充実した状態を示す、決まった翻訳語さえない「ウェルビーイング」という概念は、その最たるものではないかと思います。

 セミナーのお話では、定量化した物性のデータと、オノマトペなど感覚的な言語をマッチングするデータベースを作ったとのことでした。しかし、それが感情にどう響くかが今後の大きな課題なのかもしれません。

 今後のビジネスにおいて、AIでできることは大事になりますが、一方でAIに解決できない人間的な問題がクローズアップされるはずです。私たちは、AIにはできないことを考えていきたいと思います。

日本流行色協会のホームページ
https://www.jafca.org

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