業界ニュース

2009年11月4日配信

インテリア文化研究所 09、10年度壁紙市場予測と提言を発表
インテリア文化研究所(本田榮二代表)は、2009年度の国内壁紙生産量の見込みを前年比▲15.9%の5億4000万平米まで減る見通しと発表した。日本壁装協会が今年7月発表した2008年度の国内壁紙出荷数量は、前年比▲9.2%の6億4277万平米であった。この数字は関係者に衝撃を与えたが、インテリア文化研究所が発表した2009年度の見通しは、新築住宅着工戸数の大幅減と厳しい経済環境を反映して前年比▲15.9%の5億4000万平米。非常にショッキングな数字だが、経済環境が好転せずにこのまま進むと、2010年度はさらに▲11.1%落込んで4億8000万平米の可能性もあると予測している。

グラフⅠ:日本の壁紙出荷数量 年度別推移
グラフⅡ:壁紙の市場規模年度別推移と予測
グラフⅢ:1986年と2006年のビニル壁紙市場の対比
インテリア文化研究所では、グラフⅠのように国内壁紙市場は1996年まで成長期であったが、この年の8億1789万平米をピークに安定期に移行、そして2007年以降は衰退期に突入したと分析している。我が国の壁紙需要は住宅用途が約75%を占めているうえ、欧米と比べリフォーム市場が未成熟。その結果、今後激減が予想される新築住宅の落込みをストレートに受けてしまう。
出荷数量の激減と並ぶもう1つの問題は、量販ビニル壁紙(※以下「量販」と略)のシェア増大と指摘している。量販は販売価格が安いため、金額はさらに大きく落込んでしまう。量販は1985年に構成比30%前後であったものが、現在は70%を越えるまで急伸。この要因として、壁装業界で「別注量販」と呼ぶ特殊なビニル壁紙の存在が大きいと指摘している。具体的には上代1000円/mの通称「1000クラス」と呼ぶ壁紙を量販でつくり変えてしまうという裏技である。当然、コストダウンのため品質を落としていることは言うまでもない。マンションディベロッパーなどは、「1000クラス」の壁紙デザインが量販価格で可能となるため満足しているという。しかしグラフⅡが示すように販売単価が下がることにより、金額が大きく低下してしまう。
グラフⅢは1986年と2006年のビニル壁紙市場の対比である。20年間で数量は大きく伸びたが、増えたのは量販のみで、1000クラスは逆に減っている。同様に織物壁紙や紙壁紙も数量を大きく落としている。

インテリア文化研究所では、この閉塞状況を打開するには欧米で大きく伸びているフリース壁紙に取組む以外に方策はないと結論づけ、具体的に次の3点を提言している。
(1)付加価値を持つ壁紙で単価アップを図る
現時点で考えられる付加価値を持つ壁紙は耐クラック性能等に優れたフリース壁紙以外に考えられない。価格競争で疲弊したドイツ壁紙市場はフリース壁紙で立ち直った。この教訓から学ぶべき。
(2)リフォーム需要を喚起して市場の拡大を図る
リフォーム市場の拡大を図るためには剥離性に優れたリフォームに適する壁紙を開発する必要がある。現時点でリフォームに最適な壁紙素材はフリース。
(3)現在は実績ゼロに等しい輸出の振興を図る
無為無策でいると国内市場は縮小する一方。需要喚起策を進めると同時に中国等へ輸出をするべき。輸出するにはフリース素材でなければ不可能に近い。

この問題に関して本田代表は、今月11日から開催されるジャパンホームショー2日目の雑誌『建築知識』主催のセミナーで詳しく説明する予定。関心のある方は是非出席してほしいと呼びかけている。

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