業界ニュース

2008年12月21日配信

インテリア文化研究所 08年度壁紙出荷量を6億2000万平米と予測
壁紙出荷量の年度別推移と予測
インテリア文化研究所(本田榮二代表)では、2008年度の国内壁紙出荷量がこのまま推移すると、前年比12.5%減の6億2000万平米まで落ち込む可能性があると発表した。壁紙は典型的な住宅市場中心の商品。そのため昨年6月の建築基準法改正による新築住宅着工戸数の落ち込みで影響を被ったが、この秋以降は更に一段と厳しさが増している。
要因としては単に新築住宅の落込みだけでなく、景気後退の影響による消費マインドの低下が大きいと推定。同研究所の調査によると平成19年度の壁紙リフォーム需要は、団塊の世代が引っ張る形で大きく伸びた結果、出荷量全体の50%を占めるに至った。このリフォーム需要が消費マインドの急激な減退により、新築住宅の落込み巾以上に落込んでいる。
また2009年度についても、景気後退が容易に回復しないとして、6億平米と引き続き減少を予測している。「衣」「食」「住」という3大生活基盤のうち、景気が悪くなると最初に削られるのは「住」に関連する出費。それだけに不況による消費マインドの低下はダメージが大きい。もちろん情勢は流動的で、大胆かつ迅速な住宅ローン減税などを実施すればある程度は回復するが根本的解決には至らないとしている。

本田榮二代表は壁紙業界の活性策として次の3点を提言している。
第1点はユーザーにとって魅力的な商品の開発。例えば地震多発国の日本では、耐クラック性に富む壁紙のニーズは高い。実際、売上好調な塩ビノンスリップシートがマンションのベランダや共有廊下等に採用される一番の理由はモルタルやコンクリートのヘアークラックを隠すため。壁紙でもこのニーズは高い。
2点目はリフォームに適した壁紙の開発。品質が安定していて、張替時の剥離が容易な壁紙があればリフォームの売込みが有利になる。新築需要が頭打ちだけに、今後はリフォーム需要に注力すべき。
3点目は輸出への取組み。国内の壁紙市場は飽和状態にある。壁紙は装置産業的な側面もあるので販売数量も大切だ。売上拡大のためにも中国やロシアなどへの輸出を狙うべき。そのためにも壁紙メーカーは、世界の壁紙関係者が集るハイムテキスタイル展に出展すべきである。
以上の3点が壁紙業界活性化のための火急の課題。しかし、どれも欧米市場で「究極の壁紙素材」と評価の高いフリースを使わなければ不可能である。かつて価格競争で疲弊したドイツ壁紙市場はフリースを開発する事で回復した。既に欧米諸国ではフリースが主流。我国の壁紙企業も見習うべきとしている。

なお本田榮二代表は1月29日(木)にハイムテキスタイル展とドモテックス展の視察報告会を予定している。21回連続、通算22回目のハイムテキスタイル展視察だけに的確、かつ豊富な報告が期待される。時間はPM2:00~4:00の2時間。場所はINAX銀座ショールーム大会議室。今回は映像データーも資料として配布予定。近々詳細が発表される。
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