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2025年1月10日
【業界トップに聞く】
トーソー株式会社 代表取締役社長 八重島真人 氏


八重島社長

 カーテンレールのトップメーカーとして、日本のウィンドートリートメント市場に常に新しい風を吹き込んできたトーソー(株)。

 2024年9月に創立75周年を迎えた同社は、それに合わせる形で同年6月に八重島真人氏が新社長に就任、経営トップの若返りを実行した。

 新生トーソーの今後の経営方針について、八重島社長に話を伺った。

「ウェーブスタイル」でカーテン市場拡大目指す
「WITH」の精神で脇役を極める

 ――まずは新社長としての抱負からお聞かせください。

 八重島

 目標は最初から決めていまして、現在進行中の2026年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画「Vision2025 第3フェーズ」において、数値目標として掲げている売上高240億円、ROE 6%を何としても達成するということです。

 期間は約3年ですが、まずは会社全体で、私の考え方も含めて会社としての方針を共有しなくてはなりません。企業経営はチームスポーツのようなものですから、それぞれの選手が作戦と自分の役割を理解して戦う必要があります。その作戦会議みたいなものを、社長就任前の4月から計73箇所の事業所や工場で行ってきました。最大12名程度の小規模で行うのですが、とても活発に意見交換ができ、会社全体で目標に向かって進みはじめたという感触を得ることができました。

 やはり現場を知らなければ経営はできません。これからも本社で座っているよりも、現場を積極的にまわっていくつもりです。

 ――インテリア市場の現況と今後の見通しについてどのようにお考えですか。

 八重島

 非住宅市場は好調です。地方都市でも駅前の再開発は活発ですし、インバウンド需要に対応したホテル需要、リゾート開発、さらには半導体関連の工場新設の影響で企業城下町のように街全体が活性化している地域もあります。

 その反面、住宅市場は厳しい状態にあります。住宅着工数は減少していますし、加えて防犯や断熱化の影響で窓自体の面積が小さくなっています。買い替えもなかなか進んでいませんから、業界全体としてアゲインストになっています。就任後は取引先にも積極的に訪問していますが、やはり壁や床などの工事は好調でもカーテンはじめ窓回り関連は厳しいというお話をたくさん伺いました。

 こうした状況は2025年以降も継続するでしょうし、原材料、物流費、人件費などあらゆるコストがさらに上がっていきます。人手不足で採用もとても厳しい状況です。

 一方、先日の「JAPANTEX」では、同業他社はじめ海外メーカーも新商品やアイデアをたくさん出している印象を受けました。市場が厳しいからこそ各社が切磋琢磨して良いものが出てきているのでしょう。厳しいときこそ知恵の出しどころといいますか、商品開発に一層力を入れなければならないと考えています。

 ――商品戦略についてお聞かせください。

 八重島

 先ほどカーテン市場が厳しいというお話しをしましたが、当然カーテンレールも厳しい状況にあります。

 当社は長年にわたり「カーテン応援団」という立ち位置で、カーテンを拡販するための商品開発に力を入れてきましたが、その中で2023年に「ウェーブスタイル」の新製品を発売しました。ヒダを取らない波型のカーテンスタイルを生み出すものですが、このスタイルが海外で非常に人気になっています。例えば、オーストラリアはメカもの中心の市場構造でしたが、ウェーブカーテンの登場以降、カーテンが急増するという変化が起きています。日本はまだこれからですが、「カーテン応援団」として、カーテンメーカーとも連携して「ウェーブスタイル」を提案することで、カーテン需要を喚起していきたいと思っています。

 さらに昨年7月に新発売したロールスクリーン、バーチカルブラインドでは、「WITH」というコンセプトを掲げてプロモーションを行いました。

 実はその前に、社内でトーソーのコアバリューとは何か討論する機会を設けました。その際に「調和」や「アシスト」といったキーワードが出てきたのです。まさにカーテンとカーテンレールの関係性を表したもので、この主役ではなく脇役という価値観から「WITH」というコンセプトが生まれました。インテリアコーディネートもまさに「WITH」そのものです。脇役という価値観を極めることで、カーテンはもちろん壁紙や家具なども含め業界一のコーディネート性を目指した商品開発を行っていくつもりです。

 また「ハンギングバー」も注力する商品の一つです。今後、窓の数や面積が減少していくことは避けられませんが、当社の技術を窓以外の箇所に活かすことで、我々の事業領域に取り込みたいと考えています。他業界がライバルとなるのですが、これを内装ルートの商材として、インテリア専門店、内装工事店とともに提案していきたいと思っています。

 この他、I o Tの普及にあわせて電動商品の開発も積極化していきます。やや出遅れている分野ですが、昨年巻き返し策としてスマートフォンで操作を一元管理できる「トーソーコネクト」を発表しました。これを軸に連携する電動製品を開発していく予定です。

 ――営業戦略についてはいかがでしょうか。

 八重島

 当社はインテリア専門店、内装工事店といった内装ルートが柱ですから、当然ここを強化していきますが、そのアシスト策の一つとして消費者へのアプローチを強化していきます。

 当社はトーソー出版という出版事業を持っている点が特徴です。そのコンテンツ制作のノウハウを活かしてSNSなどで訴求すべく企画中です。現在、SNSで配信するショート動画などのコンテンツを拡充しているところです。

 それから、やはり国内市場が厳しい中で海外市場にも目を向けていかなければならないと思っています。海外の売上比率は、現状まだまだ低いのですが、以前から海外代理店は各国に持っていますから、そのルートを活用して営業していく計画です。東南アジア、インドなどアジア圏では高級ホテルが建設ラッシュになっており、現地の代理店と連携して営業強化を図っていきます。

 ――最後にインテリア業界に向けてメッセージをお願いします。

 八重島

 需要低迷や原材料価格、物流費の高騰など見通しは厳しいものがあります。こういう環境下ではどうしてもマイナス思考に陥ってしまいますが、日本の住宅は欧米と比べればまだまだ発展途上で、付加価値をつける余地はたくさんあります。それなのに環境が厳しくなるとそのことがあまり語られなくなってしまいます。

 当社自身、日本の住宅を豊かにすることを常に志向していくメーカーでありたいですし、業界全体としてもそうあるべきではないでしょうか。日本のインテリア市場は成長市場であると確信しています。「WITH」の精神でともに発展していきたいと思います。

 ――ありがとうございました。(聞き手・善明剛史)

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